名古屋の失点は、開幕戦のオウンゴールによる1点のみ。それ以降、すべての試合を無失点で切り抜け、現在9試合連続無失点。無失点継続時間を818分とし、1993年に清水が打ち立てた731分の記録を28年ぶりに塗り替えた。
直近の明治安田J1第19節・広島戦も危なげない試合運びだった。中2日、しかも大分からの長距離移動を伴ったゲームで、マッシモ フィッカデンティ監督はあえて「序盤からガンガン行け」と指示。普段のようにまずは守備からしっかり入って後半勝負ではなく、疲れのない序盤に先制点を奪って逃げ切るプランを立てた。そしてそれを選手たちは見事に遂行。22分にセットプレーから主将の丸山 祐市がヘディングシュートで先制点を奪ってみせる。
すると、名古屋はすかさずプランBに移行。それまでのアグレッシブな守備から、しっかり引いて守るところは徹底して守るという戦術に変え、中2日の疲労で運動量が落ちた後半も、適材適所でフレッシュな選手を投入し虎の子の1点を守り切った。
一方で鳥栖は、開幕から6試合連続無失点という守備陣の堅さで上位に食らいついている。4月に入ってからは1勝3敗だが、その相手はC大阪、川崎F、G大阪と昨季の上位チームばかり。しかもすべて0-1と接戦に持ち込んでいる。
直近の第18節・G大阪戦もどちらに転んでもおかしくない試合だった。G大阪がボールを支配し、鳥栖はカウンターを狙う構図だったが、相手の攻撃を集中した守備でブロックすると、流れの変わった後半に大きなチャンスを得る。47分、50分、54分と立て続けに得点機を作ったが決め切れなかった。
その後1点を奪われ、猛反撃も及ばずG大阪ゴールをこじ開けることはできなかったが、昨季までの苦悩した様子はなく、金 明輝監督の戦術が若いチームにしっかりと浸透している様子がうかがえる。
その鳥栖と古巣対戦となるマッシモ フィッカデンティ監督は「鳥栖はすごくアグレッシブで、相手に強いプレッシャーを掛け、相手に好きなことをやらせないチーム。良い意味で走るし、若くて将来性があり楽しみな選手も多い。素晴らしいチームを作っている」と最大限の警戒をする。このイタリア国籍指揮官が、古巣をどう分析し、攻撃の突破口をどこに見つけていくのか注目したい。
逆に鳥栖の金 明輝監督は「名古屋はリスクを冒してボールを動かすというよりも、前線の個のクオリティーを使っている印象。名古屋の組織的な守備を含めて(それを打ち破る)良い準備をしたい」と、名古屋の攻撃のタレントを警戒。連戦の中、若いフレッシュな力で相手を揺さぶりたい。
両者の過去の対戦は、名古屋の6勝5分5敗とほぼ互角ながら、ここ5試合は名古屋が3勝2分とリード。名古屋が連勝を伸ばすのか、それとも鳥栖が好調・名古屋に初黒星をつけるのか。守備にプライドを持つチーム同士の意地がぶつかり合う。
[ 文:斎藤 孝一 ]
