浦和は前節・広島戦に引き分けて連勝こそストップしたものの、公式戦6試合無敗。広島戦も最後に追いつかれて勝点3を逃したとはいえ、「全体的には妥当な引き分け」とリカルド ロドリゲス監督が総括した。思うようなサッカーができない中でも、勝点1を持ち帰れたのはポジティブな要素だろう。
ただ当然、課題も多く出た。ここ最近、強度の高い守備を見せていた山中 亮輔は、迂闊な対応で同点ゴールへの道を空けてしまった。また、リーグ戦初出場から3試合連続無失点と注目を浴びていたGK鈴木 彩艶はCKから直接ゴールを許し、「自分の何気ないミスでチームの流れを崩してしまった」と臍を噛んだ。無失点中もあやしさのあったクロスボールへの対応という弱点が露呈した結果で、克服のためには練習から、そして試合経験を積むことで成長していかなければならない。
ただ、1対1の場面を飛び出してストップするなど好守もあった。再び西川 周作が起用されることも考えられるが、若いGKに必要なのは出場経験と、何より反省を生かす機会だ。今節はもう一度、鈴木が起用される可能性が高いのではないか。
チーム全体に目を向ければ、先制点を奪いながらもその後停滞してしまったことが気になる点だ。明治安田J1第11節・大分戦で「(先制後に)緩さみたいなものが出てしまった」と小泉 佳穂が振り返ったように、幸先よく先制しながらもペースが落ち、相手のペースに押されてしまう試合が何度か出ている。
昨年までの苦しい状況に比べれば、自信を持ったサッカーができている。それだけに、次のステップへと進むためにも己に勝つメンタルの強さを身につける必要があるだろう。ほかに細かい点を挙げれば、3バックのチームに対しては前線からの守備が機能せず、容易に前進を許しがちなのは気になるところ。名古屋は4バックではあるが、今後に向けて見直しておきたいポイントだ。
一方の名古屋は2位につけているものの、下降線ではある。開幕から10試合を8勝2分と見事なスタートダッシュを切ったが、第10節・鳥栖戦で今季初の敗北を喫すると、そこから3勝1分5敗で大きく勝率を下げており、貯金をジワジワと切り崩している状況だ。
前節も守りを固める仙台に対して圧倒的に攻め立てるも、1点を守り切られて敗戦。しかし、マッシモ フィッカデンティ監督は「このところの結果を見ると苦しいと思われるかもしれないが、今日の試合は何も言うことがないというくらいの評価」、「どうしてもゴールだけが生まれなかっただけだと思う」と前向きだ。
仙台戦では不慣れなポゼッション攻撃の時間が長くなったが、本来の持ち味は堅守速攻。ボールを握りたい浦和が相手なだけに、お互いの土俵で試合が進んでいくだろう。逆に浦和からすると、同じ堅守速攻スタイルに敗れた第12節・福岡戦の宿題を提出する試合になる。「矛vs盾」というよりも、「刀vs槍」というべきか。どちらがお互いの特性と間合いを生かして相手を刺せるかの戦いになるだろう。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
