前回対戦は前田 大然が決勝弾を挙げて、横浜FMが1-0で勝利を収めた。点差としては1点だったが、徳島が横浜FMのハイプレスに苦戦したのは否めない。コロナ禍の影響で代行指揮を執った甲本 偉嗣ヘッドコーチが「相手のプレッシャーの速さは最初から想定していた部分」と言うように焦りを見せるようなことはなかった。ただ、結果として前田のプレスを回避できずにビルドアップのボールを奪われて失点に至っている。
あの日から約3カ月。両者ともに大きく変化があった。今季二度目の対戦ではどちらが優位に試合を運ぶのか。そして、軍配はどちらに上がるのか。
まず、徳島における最も大きな変化は、当然ながら4月に合流できたダニエル ポヤトス監督の存在だ。合流のタイミングが連戦真っただ中ということもあり、戦術を浸透させていくという観点では非常に苦労している様子がうかがえた。しかしながら、6月に入ってからは前節・FC東京戦までに約3週間の準備期間があったことで攻守ともに緻密な構築が行われてきた。徳島はJリーグYBCルヴァンカップを敗退している背景もあり、戦術の積み上げに特化して6月のほとんどを過ごしてきている。
対する横浜FMの最も大きな変化は、対照的にアンジェ ポステコグルー監督の退任。セルティックから監督就任のオファーを受け、監督とクラブで協議を重ねた結果としてアンジェ ポステコグルー監督の意志を尊重して双方合意の下で退任することが6月10日にリリースされた。その後は松永 英機監督が暫定的に指揮を執っている。
次に、両者の最近のトピックスを見ていこう。
徳島はダニエル ポヤトス監督以外に、新型コロナウイルス感染症の影響でカカやクリスティアン バトッキオの合流も4月中旬となった。カカは早々にフィット感を増していったが、クリスティアン バトッキオはやや出遅れていた。だが、日増しにプレー精度は高まっており、現在はかなり良い状態にある。また、チームとして約3週間の積み上げを行ってきた中で、アタッキングサードにおける中央突破の試みは少しずつ形が見え始めている。ただ、その一方で前節・FC東京戦で失点を許した現象のように、ビルドアップ時の致命的なミスは続いた。中3日でどのような修正を行うのか、注目したい。
横浜FMで特筆すべきはFWの2選手。1人目が日本代表に追加招集されたオナイウ 阿道。6月15日に行われたキルギス戦では、代表初ゴールを含むハットトリックの活躍でメンバー争いに名乗りを上げた。9月からはW杯アジア最終予選を控えている。まだ6月ではあるが、オナイウにとって勝負の夏はすでに始まった。2人目が前田。東京五輪に臨む日本代表に選出され、注目度は増す。
勝者は徳島か、横浜FMか。両者とも攻撃に特長のあるクラブ同士。台風5号の影響は気がかりだが、エンターテインメント性のある一戦に期待したい。
[ 文:柏原 敏 ]


