「中断期間中は自分たちがやらなければならないこと、やれることの再確認とレベルアップに取り組んだ」と長谷部 茂利監督が話したように、補強は中断前に湘南から獲得した中村 駿のみとなっており、新戦力加入による変化というよりも、既存戦力の個とグループのレベルアップを復調へのパワーにすることを選択した。
シーズン前半戦の好調の要因は、失点を抑えながら好機を確実にモノにしていく、粘り強く堅実な試合運びを一体感をもって実践できたからだ。そういう“らしさ”を取り戻すために、攻守における細かい部分の見直しと質の向上が中断期間で取り組むテーマとなったようだ。とはいっても、ボールを奪いに出る前向きな守備のレベルアップが立て直しの肝となることは間違いない。そのために必要な共通認識の徹底と連動性の向上に取り組んだ様子。今節が古巣戦となるエミル サロモンソンも「中断期間では十分なミーティングを行って意思統一を図り、それを練習にしっかり落とし込んだ」と手ごたえを感じており、その成果がどれほどのものかが大きな見どころになる。
もちろん、福岡でのデビュー戦となる可能性がある中村のプレーにも注目したいところ。守備での貢献と同時に、持ち味である攻撃面での働きに期待がかかる。群馬や山形でともに戦った山岸 祐也とのホットラインに加え、「金森 健志などボールを持ったときに相手を1人、2人とはがせる選手がいるし、SBも攻撃的なので、そこに自分がどれだけ良いボールを供給していけるかが大事だと思っている」(中村)という配球面での働きで、7試合ぶりの複数得点につなげたいところだ。
一方、広島は中断前の横浜FC戦で6試合ぶりの敗戦を喫しただけに、中断期間は気持ちを引き締めて課題に取り組めたはず。しかし、シーズン前半戦の戦いを支えた川辺 駿のグラスホッパー(スイス)への移籍は痛手だろう。その中で、昨季途中から福岡、今季はC大阪へ期限付き移籍していた松本 泰志の復帰で穴埋めに動いた。松本にとって、復帰戦が昨季プレーしたベスト電器スタジアムということになればモチベーションも高まるはずで、印象的なプレーをする可能性は十分にある。
また、守備面では水戸からの完全移籍で住吉 ジェラニレショーンを獲得。対人能力に優れる住吉は、チームの基本となっている3バックで特徴をうまく発揮できそう。今節で広島およびJ1デビューを果たすのかも注目点の1つだ。
4月末の前回対戦は、前 寛之のスーパーボレーで勝ち越した福岡が2-1で勝利を収めている。福岡はそのゲームのあとにも4試合連続で勝利を重ねて6連勝を果たした。今回はその広島を下して連敗を止め、勢いをつけることができるのか。それとも広島が前回対戦の借りを返して上位浮上へのエネルギーとするのか。さまざまな見どころがある再開初戦は熱くなりそうだ。
[ 文:島田 徹 ]


