リーグ戦再開から、天皇杯を含めて公式戦4戦を消化した浦和。初戦の明治安田J1第23節・札幌戦こそ1-2で敗れたが、その後は3連勝。失点は2試合連続でゼロと、結果を見れば順風に見える。ただ、実際のところは決して順調ではない。22日の会見で西野 努テクニカルダイレクターはこう語っている。
「来年に向けての積み重ねのところでは、もちろんどんな形でも勝ちを重ねていくのは結果のために大事だが、本当に強いチームになるためのプロセスという意味での、内容を伴った試合かと言われると、直近の2試合を含めて少し物足りないところはある」 これは厳しい要求ではあるが、浦和が真のビッグクラブへと再飛躍するために重要なことだ。ともすれば二兎を追って大崩れする危険性もあるが、1つ楽観視して良さそうなのは、いまの浦和は現場とフロントがしっかりと同じ方向を向けているように見えることだ。
リカルド ロドリゲス監督はクラブの難しいオーダーに応えつつ、理想と現実をうまく行き来しているように映る。理想のスタイルに殉じるでもなく、すべてを現実的に割り切るでもなく、しかしながら目の前の勝利にこだわる。薄氷の試合もなくはないが、チームに辛抱強く成長を促しつつ、一方では目の前の勝利のために策を幾重にも巡らせてきた。
クラブとしても、描いたロードマップとのズレを感じることもあるだろうが、うまくチームと情報を共有しながら歩みを進められている。それは今季の補強を見れば明らかで、ここまで指揮官が持て余すような選手を獲ってくるようなことはなく、すべての新加入選手がチーム力の向上に寄与している。
江坂 任、酒井 宏樹、平野 佑一は試合を追うごとに能力を発揮しており、アレクサンダー ショルツも前節で初スタメンを飾った。既存の選手たちも彼ら新戦力と共鳴を見せ始めている。今節でのデビューとなるかは分からないが、木下 康介も終盤戦に向けての重要なピース。190㎝の長身を誇る逆輸入FWは、浦和に足りなかった“高さ”を大きく補ってくれる。
現場の喫緊の課題は山積みとも言えるが、一歩進んで二歩下がるようなことはなく、たとえ半歩ずつでも進歩が感じられることはポジティブに捉えていいだろう。ただ、シーズンも後半に入り、なるべくならペースアップをしたい。現在地の再確認として広島はうってつけの相手だ。
2-2で引き分けた前回対戦では、広島の激しい守備に前進がままならず、また守備でも広島の前進を規制できずに自陣深くまで何度も攻め込まれた。今回は進歩を見せて、結果・内容ともに上回りたいところだ。
一方の広島はおよそ2カ月勝利がなく、森島 司、林 卓人、茶島 雄介ら負傷者も多数抱えており、こちらも順調ではない。ただ前節、圧倒的首位の川崎Fと引き分けて勝点を得たことは大きな自信につながるはず。城福 浩監督も試合後、「(前半は)自分たちの思い描いた試合になったが、後半もあの内容を続けられることを目指して歩んでいければいいと思う」と口にした。
ただ、浦和としてもやはり負けられない。結果と内容の二兎で何より欲しいのはAFCチャンピオンズリーグ出場権、アジアの舞台へと再び返り咲くことだ。
[ 文:沖永 雄一郎 ]