月並みな言葉を使えば、“究極の矛盾対決”。横浜FMは直近の5試合でなんと17得点。圧倒的な攻撃力を誇って勝星を重ねている。一方、名古屋は直近5試合で失点が『1』。JリーグYBCルヴァンカップの2試合と、ACLのラウンド16を合わせても8試合でわずかに3失点と、堅守を基調に勝利を積み上げている。
この数字からも分かる通り、横浜FMの攻撃を名古屋がどう抑えるか、逆に言えば名古屋の堅守を横浜FMがどう打ち破るか、という戦いだ。ちなみに、8月12日に行われた明治安田J1第18節では横浜FMが2-0で勝利しているが、名古屋としては新型コロナウイルス感染症のワクチン接種により、体調不良の選手が続出していたタイミングでの試合だった。その横浜FM戦以降は無敗と調子を取り戻している。
リーグ戦ではないが、名古屋が圧巻の試合運びを見せたのは、週中に行われたACLラウンド16の大邱戦。二度のリードを許したものの、夏に加入したシュヴィルツォクのハットトリックなどで逆転勝ちを収めた。今季の名古屋はそれまで先制されたときの勝率が0%で、引き分けに持ち込むことさえできていなかった。その原因は深刻な得点力不足にあり、上位陣の中でも浦和と並んで得点数が少ない。先制されて守備を固められたら、それをひっくり返す力が足りなかった。
しかし、シュヴィルツォクの加入で、課題克服の道筋が見えてきた。ただ、今節も目指すのは無失点での勝利。不確定要素の高い攻撃を信じ切ってしまえば、足をすくわれる。無失点で勝点1をキープしたまま試合を進め、どこかのタイミングで勝点3に変える作業をしたい。
名古屋は現在、リーグ戦での無失点試合数が『18』とJ1リーグタイの記録。1995年に横浜マリノスがマークした記録に並んでいるが、その年の試合数は52試合。いかに今季の名古屋の守備力が傑出しているかが分かる。記録を持つ横浜FMを抑えて新記録を更新すれば、偉業に花を添えることができる。
だが、横浜FMも負けるわけにはいかない。第26節・鳥栖戦で勝利し、首位・川崎Fに勝点1差に迫ってからはなかなか追い抜くことができないでいる。残りは10試合と、タイトル奪還に向けての我慢比べの様相。川崎Fよりも1試合消化試合が多く、先に根負けするわけにはいかない。
注目は、やはり8月の『明治安生命Jリーグ KONAMI月間MVP』を獲得したレオ セアラ。6ゴール3アシストと驚異的な攻撃力と決定力を発揮した。名古屋の壁を打ち破ることができれば、首位の座も見えてくる。
攻撃が好調の横浜FMと、守備で好調の名古屋。どちらがその特長をより発揮できるか、楽しみな一戦である。
[ 文:斎藤 孝一 ]
