横浜FCは前節、FC東京に0-4の大敗を喫した。試合の入りは良かったが、13分に守備の要であるガブリエウが負傷交代すると、そこから守備が崩れ、FC東京の強力外国籍アタッカー陣を抑えられずに大量失点。攻撃ではシュート6本に終わり、決定機もほとんど作れなかった。これで3連敗となり、その間の失点は『8』で得点はわずか『1』。しかも、膝を痛めたと見られるガブリエウが復帰できないとなれば、最悪のタイミングでダービーを迎えることになる。
対する横浜FMも前節は黒星。名古屋を相手に19本ものシュートを放ち、ボール支配率も約65%と圧倒したものの、セットプレーと自陣でのミスから2点を失い、ハードな守備の前に追撃を1点に抑えられた。悔しい敗戦となったが、決して調子が落ちているわけではない。「自分たちのやりたいことができた。何もできなかった負けではない」というケヴィン マスカット監督のコメントは強がりではなく、総得点64はリーグ最多の数字だ。負傷で戦列を離れていたチアゴ マルチンスが復帰の見通しなのも明るい材料だ。
横浜FMのホームで行われた前回のダービーは、横浜FMが5-0と圧勝した。今回も両者の立ち位置、状況的に横浜FCの勝ち目は薄いが、何が起こるか分からないのがダービーだ。
実はリーグ戦での“横浜ダービー”で、横浜FCはホームゲームで負けたことがない。初めてJ1昇格を果たした2007年、圧倒的不利の下馬評を覆して1-0でJ1初勝利を挙げている(ただし、その後のアウェイでは1-8と歴史的大敗を喫した)。二度目のJ1挑戦となった昨季、アウェイでは0-4と大敗したが、6試合勝ちなしで迎えた最終節のホームゲームを3-1で飾った。23本ものシュートを浴びるという内容だったが、何か不思議な力が働いているような勝利だった。
2007年のホームでのダービーで決勝点を挙げたのは、いま横浜FCを率いる早川 知伸監督。クラブ規模の差、戦力差、順位などでは負けていても、ホームで同じ街のライバルに負けるわけにはいかないという意地を最も知る人物だ。下馬評で横浜FMが有利であればあるほど、何かが起こる気がしてならない。一方、ニッパツ三ツ沢球技場は横浜FMにとってもホームであり、今季の横浜FMはニッパツでのリーグ戦は6戦全勝である。残留争いの横浜FCと、優勝争いの横浜FM。どちらの意地とジンクスが上回るか、注目の一戦だ。
[ 文:芥川 和久 ]
