徳島は前節・仙台戦を1-0で勝利し、J1残留圏の16位・湘南と勝点差1に迫る。また、15位・清水とも勝点差3と近接しており、残留という目標に向けて目が離せない。一方の鳥栖は、勝点51で7位に位置する。クラブによって消化試合数はやや異なるものの、上位に目を向けると、3位には勝点57で名古屋がいる。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得という目標に向け、勝点3を積み上げ続けたい。
両者の様子を見ていく。
ホームの徳島は6連敗と重苦しい日々が続いていたが、前節は順位の近い仙台に勝利。連敗を脱出しただけではなく、残留争いを大きく左右する相手からの白星だけに、意味するものは大きい。また、この試合は無失点に抑えることができたが、0-3で敗れた明治安田J1第28節・名古屋戦あたりから粘り強さが表れ始めていた。連敗中の結果だけを見れば大量失点が続き、状況は変わっていないように見えたかもしれない。ただ、プレーしている選手たちの感覚は「全員で1つになってやろうとできた」(福岡 将太)と手ごたえが変化してきていた。
その過程の中、仙台戦で決勝弾を挙げたのは、チーム最年長で守備の再構築に大きく貢献した石井 秀典。言葉だけでは表現できない大きな影響をチームに与えたことだろう。そして、同試合で初先発した新加入のムシャガ バケンガがフル出場を果たし、決勝弾のお膳立てもした。宮代 大聖、杉森 考起、渡井 理己など負傷離脱者が増加していた中で試行錯誤もあったはずだが、この難局をチーム一丸となって越えられたと言える。しかしながら、一喜一憂する暇はない。J2降格圏を脱出できたわけでもなく、引き続き目前の一戦に集中できるかどうかが何よりも重要な時期だ。
対する鳥栖は前節、“九州ダービー”と冠のついた注目カードで福岡と戦い、0-3で落とした。試合後には「情けない試合を見せて、本当に申し訳なく思っています」(金 明輝監督)、「こういう負け方は情けないと思いますし、今後やってはいけない戦い方だと思います。サポーターの皆さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」(樋口 雄太)と指揮官も選手も悔しさをにじませるコメントを残しており、この敗戦を力に変えるべく徳島戦に向けて仕切り直してくるだろう。
前回対戦では徳島をシュート2本に封じ込めて2-0と完勝している。試合後に金 明輝監督は「非常にタフなゲームでしたが、しっかりと選手たちが90分間集中して、トライしてくれました」と振り返ったが、その言葉が示すようにチームの総走行距離は125.591kmと徳島を6km以上も上回るハードワークだった。参考までに紹介すると、鳥栖が第3節・仙台戦(5○0)で記録したチーム総走行距離は、今季のJ1で最多(133.974km)。戦う姿勢はもちろんながら、その走力も驚異的だ。
残留の目標をかなえたい徳島。ACLを追い求める鳥栖。どちらも譲らぬ熱いバトルになりそうだ。
[ 文:柏原 敏 ]


