札幌は前節、ホームで福岡と対戦して0-0の引き分け。普段の陣形から変更して自陣守備を厚くし、同時に高い位置からタイトな守備を仕掛けてきた福岡に対して手を焼き、やりたいことがなかなか出せずに90分間を終えてしまった。攻撃時に相手の厳しいプレッシャーを受けるとパスの精度が落ち、プレーの選択肢も減って好機をうまく作り出すことができなかった。
ただ、苦戦しながらもなんとか勝点1を積み上げたことで、「ほぼJ1残留は手中に収めた」とペトロヴィッチ監督。さらに、「残り試合は若い選手も使いながら、未来に向けた戦いをしていきたい」と今節に向けてコメントした。メンバー選考なども含め、今後に向けてどういった戦いを仕掛けるのか興味深いところである。
一方、11月の札幌市内に乗り込む湘南は前節、横浜FCと対戦して2-1の勝利。前線にウェリントン、タリクと外国籍選手を並べ、畑 大雅、岡本 拓也という左右のMFがサイドから仕掛けて2トップを生かすやり方で攻め立てながらも、後半中頃に先制点を奪われるというイヤな展開となった。しかし、そこから大橋 祐紀、山田 直輝と途中出場のアタッカー2人が起用に応えてそれぞれ得点。見事な逆転勝利を収めている。
この勝利が持つ意味は大きい。山田の得点は89分に生まれた劇的なものであり、およそ5カ月半ぶりとなるホームゲーム勝利に導いた。加えて、山口 智監督就任後初の白星でもあり、チームに勢いを生み出す要素がたくさん詰まったもの。J1残留に向けて、大きな後押しとなる勝利だったはずだ。
さて、そんなチーム同士の対戦だが、焦点となるのは双方がどういった形で試合に挑むのかという部分である。前述したように、札幌は前節までとは多少異なるメンバー選考をしてくる可能性がある。対する湘南は、前節の札幌の試合内容を踏まえて、高い位置からのタイトな守備で優位に立つやり方も選択肢の1つに入るだろう。ただし、その戦略で挑んだ場合、プレー強度を維持できなければ逆にリスクとなってしまう可能性も十分に秘めている。それだけに、湘南がどういったパワーバランスで攻守を演じるかは注目だ。
札幌としては勝って1ケタ順位に食い込んでいきたいし、湘南は言うまでもなく残留争いを制するために絶対的に勝点が欲しい状況。お互いが相手の立ち位置を踏まえながら戦略を練っていく一戦は、長かったリーグ戦の最終盤にふさわしい、緊張感たっぷりのゲームになることは間違いない。
[ 文:斉藤 宏則 ]

