そんな大一番を控える今週、湘南は「言葉では言い表せない衝撃」(山口 智監督)を受けた。
オリベイラが急性うっ血性心不全のため、他界してしまった。突然過ぎる出来事に選手やチームスタッフは現実を受け入れられず、気持ちの整理がついていない。しかし、時間はどんどん経過していき、試合の日は近づいていく。
その中でも「みんなピッチに立ったら集中してトレーニングを行えている。『本当、みんなプロフェッショナルだな』とあらためて思った」とキャプテンの岡本 拓也は語った。
チームメートの死は、そう簡単に受け入れられるものではない。「それが自然なこと」と山口監督は言うが、下を向いたままでは徳島に上回られてしまう。
相手は前節、FC東京を2-0で完封。19歳の藤田 譲瑠チマがJ1初ゴールを決めるなど、勢いづいている。それに、2年前のJ1参入プレーオフ決定戦での雪辱を同じ地で果たそうと立ち向かってくるはずだ。
それに対して岡本は、「僕たちにとっても負けられない試合なので、気持ち込めて戦いたい」と強い思いで、前を向く。
「本質的なことを変わらずやろうというのは、選手は理解してくれていますし、『応援してくださる皆さんに対して見せられる今季最後のホームゲームになる』という話はしています。“湘南らしさ”というのは常々表現しないといけない。『受け入れろ』とは言えないですけど、彼の思いを背負ってプレーすることがいまできること。悲しみとかいろいろな感情があると思いますけど、次の試合に向けてとにかくいまできることをやっている状況ですし、それ以上のことは無理してもできない。皆さんに『さすが湘南だな』と思ってもらえるような試合がしたい」と指揮官は言葉に強い力を込める。
心理的に難しい状況ではあるが、やるべきことはハッキリしている。湘南らしくアグレッシブに90分を戦い、そして勝つ。勝利こそが、残留、降格うんぬんではなく、オリベイラのためにできる一番のことだ。
常に陽気で前向きな性格だったオリベイラは、ピッチに立つことは少なかったが、人一倍サッカーに対して真摯に向き合ってきた。その姿勢は選手として日本代表やJリーグの第一線で戦ってきた山口監督も、「自分自身も勉強になりましたし、もう一度考えさせられたことが多い」と認めるほど。いまこそ彼の姿勢を見習い、週末の決戦へ向けて準備し、戦わなければならない。ひたむきに立ち向かう姿勢で、必ずや勝利をつかみ取りたい。
[ 文:舞野 隼大 ]
