「いざ相手にすると、最後まで走って球際も強く、切り替えも速く、やっぱり『イヤだな』と思うチームでした」 古巣戦に意気込んでいた大畑 歩夢も鳥栖の鋭い出足に何度も後れを取った。多くの選手が入れ替わり、指揮官も交代した鳥栖だが、スタイルを築き上げてきた年月の差だろうか。リカルド ロドリゲス監督体制2年目を迎えた浦和と比べて、プレーに迷いがなかったのは鳥栖のほうだった。
「前半に関して言うと、われわれが狙いを持っていた使いたいスペースをうまく使えていなかった。解釈の違いというか、狙ったプランとは違うやり方をしてしまったのが1つ要因としてあると思います」 リカルド ロドリゲス監督はそう振り返ったが、鳥栖の鋭いプレッシングに乱されたとも言える。ホームスタジアムとは勝手の違う芝にも苦しめられ、イージーなミスに見えるシーンも序盤から散見された。初勝利を挙げるまでのチーム状態を柴戸 海は「チームとしての雰囲気はまったく悪くありませんでしたが、勝てていないことで、選手一人ひとりが『もっと自分がやらなければ』となっていたと思います」と捉えていたが、この試合でもそれが顔をのぞかせていたかもしれない。
普段であれば、高い戦術理解で適切なプレーを繰り出すアレクサンダー ショルツ、岩尾 憲、小泉 佳穂らが、それぞれ“詰まってしまう”ような状況が起きていた。お互いのやりたいプレーが被っていたように映り、それは苦しい試合状況ゆえか、相互理解の不足があったのか。喫緊に改善しておきたい点だ。
そして何といっても、いまの浦和が抱えている最大の問題が“得点”について。
「後半、僕にビッグチャンスがありました。それを決め切らないとこういう試合になってしまいますので、責任をすごく感じています」 明本 考浩は試合後にそう語ったが、明本に限らず多くのチャンスを作り出しながらも決め切れないシーンが目立ってしまっている。それをチームとしてチャンスの質を上げることで解決するのか、人で解決するのか。
両面を求めていく必要があるが、ここまで試合に絡めていない戦力が戻ってきているのは1つの光明だ。キャンプ後に負傷していた新加入の松尾 佑介が復帰し、慢性的なグロインペイン症候群でキャンプをほぼ棒に振っていたキャスパー ユンカーも状態を上げてきている。思えば昨年も、なかなか成績が上向かない中でキャスパー ユンカーの加入が起爆剤となった。
さらにはコロナ禍で来日が遅れていたダヴィド モーベルグも9日より合流。初日からまずまずのコンディションを発揮して高い技術を披露しており、スタメンはもう少し先にしても、今節でメンバー入りする可能性はある。復帰戦力と新戦力による活性化で、昨年の“5月反攻”の再現を狙っていきたい。
そして、アウェイに乗り込んでくる磐田とは3年ぶりの対決となる。それほど時は経っていないが、2019シーズンの対戦に出場した選手で残っているのは、西川 周作、岩波 拓也、柴戸 海、関根 貴大の4名のみ。磐田は大井 健太郎や山田 大記ら数名のみと、時の流れを感じさせる。両者は通算の対戦成績もほぼ五分。お互いの復権を懸けた対決となる。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
