そういったチーム状況も関係したのか、22日に行われた天皇杯3回戦の戦い方には大きな差が出た。J2で21位の岩手を相手に、福岡はリーグ戦からの完全なターンオーバーを敷いて臨み、3-1の勝利でラウンド16にコマを進めた。一方で、J2で2位につける横浜FCを相手に戦った広島はターンオーバーを敷かずリーグ戦を戦う主軸メンバーで臨み、5-0の大勝につなげた。中2日でこの福岡戦を控えていたが、ミヒャエル スキッベ監督はターンオーバーを敷かなかった理由を「ただ勝ちたかった」と語った。
その天皇杯3回戦から中2日の日程で行われる今節。蒸し暑さが増す天候も考えると、フィジカルコンディションでは福岡にアドバンテージがあるように思える。しかし、チームとしての好調を維持しているという点で、メンタルコンディション的には広島のほうが整っているとも考えられる。このあたりがどう影響してくるのか、興味深いポイントだ。
ここまでのリーグ戦で12得点の福岡が、2倍近くの21得点を挙げている広島に対して守備を強く意識して試合に入ってくることは予想できる。しかも前節・清水戦で3失点を喫したことで、失点を抑えたいとの姿勢が強くなることは当然だろう。前向きな守備が今季の福岡の堅守を支えているが、システム上のミスマッチが起こる相手に対しては、前線からのプレスで攻撃力を抑制することは簡単ではない。主将の前 寛之あたりも実感しているところだろう。
広島の素早いパスワークに対してどうやって圧力を掛け、分断していくか。その戦術の整理がどこまでできているか、それをどの程度のレベルで実践できるかが、福岡の勝点獲得、そして4試合ぶりの勝利へのカギになるのではないか。
広島は福岡とわずか1点差で、リーグ2番目に少ない14失点と守備も堅いチームだが、いまは攻撃力がチームを好調に導いている要因と言えるだろう。ここ5試合のリーグ戦では複数得点が3試合で、計9得点。そして天皇杯の横浜FC戦では5得点と、得点力が目を引く。
リーグ戦では野津田 岳人が2試合連続ゴール中。そして前節・C大阪戦でリーグ戦今季初出場を果たし、終盤に逆転ゴールを挙げたドウグラス ヴィエイラが横浜FC戦でも得点を挙げるなど、さらなる攻撃力アップの材料もそろっている状況。
フィジカル面で分がありそうな福岡が守備を立て直し、得意の堅守速攻からホームゲームを制するのか。それとも、攻撃力が増している広島が福岡の堅守を破るのか。昨季のリーグ戦では福岡が1勝1分の成績を残しているこのカード、今回はどんな結末が待っているのだろうか。
[ 文:島田 徹 ]


