一方の鳥栖側にも、かつて町田でプレーしていた選手が所属しており、富樫 敬真とヴィニシウス アラウージョは古巣戦に向けて闘志を燃やしているに違いない。富樫は「町田と対戦できることを楽しみにしている」と昨年話していたことがある。
ホームで鳥栖を迎撃する町田は、前節・札幌戦の勝利により首位に浮上。ただ、クラブ史上初のJ1首位という歴史的な出来事にも「慢心はない」(藤本)。3連勝中とはいえ、その期間はすべて1点差ゲームのため、「余裕があって勝った試合は1つもない」(林)と、チーム内にはある種の危機感が充満している。「1つ負けたらズルズル行ってしまう危機感を持っている」とは林の言葉だ。
ボール奪取からのカウンターをストロングポイントとする町田と、ボール保持志向の鳥栖による対戦は、戦い方のかみ合わせ上、町田のほうがストロングポイントを発揮しやすい状況かもしれない。町田としては、前線からのプレスで相手のビルドアップを窮屈な状況に追い込み、ボール奪取からのスピーディーなカウンターで仕留めることが理想的な展開。一方の鳥栖としては、相手のプレスをいなし、ゴール前で勝負できる機会を増やすことがポイントか。
ただ、町田は守備組織を形成する[4-4-2]の3ラインがそれぞれ強固であるため、ボックス付近まで進入するのも至難の業かもしれない。保持志向に舵を切っていた名古屋は、明治安田J1第2節で町田と対戦した際に苦戦していたが、鳥栖にはチーム作りの方針に継続性がある。川井 健太監督体制3年目のアドバンテージを生かすときだ。
なお、公式戦がなかった先週は、町田の藤尾 翔太と平河 悠がU-23日本代表の活動に参加。また、ミッチェル デュークもオーストラリア代表に招集されていた。U-23日本代表組は鳥栖戦の3日前に全体練習に合流したが、「いつもどおり先発でいけます」と藤尾は言葉に力を込める。一方で代表選手を抱えていない鳥栖は、町田戦に向けて入念な準備期間があったため、首位撃破のイメージづけは万全と言えるだろう。
町田と鳥栖による“歴史的初戦”は、ホームの町田が首位の貫禄勝ちを収めるのか。あるいはJ1の先輩である鳥栖が意地を見せるのか。現実路線で勝点を積み重ねる町田と、ロマン色の強い鳥栖ではチームスタイルが“対極”。相反する価値観がぶつかり合うという意味でも、興味深い一戦だ。
[ 文:郡司 聡 ]
