町田は前節、福岡とのアウェイゲームを3-0で制し、首位に立っていた広島が引き分けたことで首位を奪回した。それでもチームは浮き足立つ様子はなく、試合後の白崎 凌兵は「目の前の試合を1つずつ勝っていく」と一戦必勝を誓っていた。
黒田 剛監督を筆頭としたコーチングスタッフもその姿勢は変わらない。首位を奪還したこのタイミングで残留争いに身を置く相手をホームに迎えるため、気の緩みを懸念したのか、準備期間立ち上げの日の練習中には黒田監督がゲキを飛ばし、チームを引き締めることに余念がなかった。
今季の町田を振り返れば、指揮官の姿勢にも合点がいく。残留争いをしている湘南と対戦した明治安田J1第26節は0-1で不覚を取った。同じ過ちを繰り返さないためにも、黒田監督はチームの危機感を煽ってきた。
ましてや札幌は今節、大﨑 玲央と荒野 拓馬の主力2選手が累積警告による出場停止を余儀なくされる。相手が主力選手を欠くことは油断にもつながるため、指揮官は警告を発してきた。黒田監督の手綱さばきが試合にどう反映されるかに注目だ。
一方でアウェイに乗り込む札幌は、前節・東京V戦で0-2と敗れて連勝が『3』でストップ。“連勝街道”が一区切りした上に、前述のとおり複数の主力選手を出場停止で欠くことは痛手だが、J1残留を果たすには勝点3を積み上げていくしかない。前節は70分過ぎからCBの岡村 大八を前線に上げるパワープレーを敢行。そうしたなりふり構わぬ姿勢は、ペトロヴィッチ監督の哲学に反しているように映るが、それだけ勝点3を欲している意欲の表れだろう。
また首位撃破となれば、今後の逆襲への“追い風”になり得る。以前、黒田監督は首位チームを倒そうと目の色を変えてくる相手のモチベーションについて、こう話していたことがある。
「これからの対戦相手は首位の町田に打ち勝つことで勢いをつけられるし、われわれを倒すことでより自信をつけたいと思ってくるでしょう」 札幌も首位撃破を果たすことで、さらなる逆襲への契機にすることをもくろんでいても不思議ではない。
札幌の注目プレーヤーは青木 亮太。町田出身のアタッカーは地元でのプレーを楽しみにしているはずだ。名古屋に在籍していた2017年のアウェイでの町田戦では1得点を決めて勝利に貢献。破壊力に満ちたドリブル突破に町田の守備陣が翻ろうされたことは、古くからの町田サポーターの目にも焼きついているに違いない。
上位陣の中でも、アジアの戦いに参戦している広島や神戸とは異なり、リーグ戦1本に集中できるシチュエーションの町田が首位の貫禄を示すのか。あるいは札幌がJ1残留に希望を見いだす“首位撃破”を成し遂げるのか。ヒートアップ必至の90分に注目だ。
[ 文:郡司 聡 ]
