神戸は前節、ホームで行われたFC東京戦で0-2の敗戦。優勝争いを繰り広げる中で痛恨の結果となってしまったが、翌日に首位・広島も敗れたことで、結果的に勝点差は『1』のまま。その翌日、吉田 孝行監督は「ほかの試合よりも自分たちの反省」と話し、「自分たちがFC東京に勝たなければいけなかった。何よりもそれが大事なこと」と自チームに強くフォーカスを当てた。
その指揮官の言葉はチームの隅々に浸透する。ピッチで戦う酒井 高徳は口をそろえるように「自分たちにフォーカスしたい」とした上で、強い意志を言葉に変えている。
「同じ失敗を繰り返さず、最後までただ走ること。相手の結果は関係ない。サコ(大迫 勇也)もずっと言っていますけど、『勝ち続けるしか優勝はない』。勝ち続ける可能性をいかに上げていけるか。この間の試合(FC東京戦)からもしっかりと学んで、積み重ねていくことが残り4試合は大事。そこをあらためて意識したい」 その経験を経て、FC東京戦から中4日で迎えたAFCチャンピオンズリーグエリートリーグステージ第3節ではアウェイで蔚山(韓国)と対戦し、2-0の完勝。さらに、そこから中3日で迎えた京都との天皇杯準決勝は、蔚山戦からメンバーの半数以上を入れ替えて臨んだ中で2-1の勝利を収めた。その3連戦すべてでフル出場したマテウス トゥーレルは、試合と向き合う選手の思いを口にしている。
「僕らは唯一、3つのタイトルのチャンスがある。誰一人としてコンディションとか連戦とかを考えていない。みんなが全試合に出るつもりでいるし、全員がフルで出て戦う準備ができている」 “目の前の試合”に全力を傾けること――。終盤戦を迎えてもなお崩れない“吉田ヴィッセル”不動のメンタリティーを武器に、本拠地・ノエビアスタジアム神戸で磐田を撃破する準備を整えていく。
ただ、この試合に勝たなければならないのは磐田も同じだ。J2降格圏の最上位である18位につけ、17位・柏とは勝点4差、16位の新潟とは同5差と肉薄。消化している試合は柏より1試合、新潟より2試合少ない。残り5試合での逆転残留へ1試合も落とせない状況が続いており、いかに執着心を盛り上げられるかが大事になる局面を迎えている。
その意味ではC大阪のホームに乗り込んだ前節は圧巻だった。幸先よく5分にジャーメイン 良が先制ゴールを挙げ、71分にもジャーメインが追加点を奪取。だが、勝利まであと一歩となった88分に1点を返され、アディショナルタイムにはPKを献上してしまう。その危機的なシチュエーションで魅せたのは、渾身のシュートストップを披露した守護神の川島 永嗣。ビッグセーブ後に味方が川島を取り囲み、ゴール裏のサポーターが歓喜に沸く姿は、逆境を跳ね返そうとするチームの執念を象徴するような瞬間になった。その流れを今節のアウェイ戦に持ち込むことが勝点3を得る前提条件となる。
[ 文:小野 慶太 ]
