長谷川 健太監督が就任して4年目の名古屋は今季、清水から原 輝綺、浦和から佐藤 瑶大を獲得し、ディフェンスラインを強化。前線ではマテウス カストロがサウジアラビアリーグから復帰するなど、「優勝できるメンバーがそろった」と指揮官が語る戦力を整えた。
しかし、開幕から6試合未勝利と今季もスタートダッシュに失敗。5月は逆に6試合無敗と息を吹き返したものの、7月から8月は4連敗を含む6戦未勝利など振るわずに、もくろみとは真逆の残留争いに巻き込まれた。前々節・柏戦(0●1)の開始前に横浜FCが敗れて“他力”で残留は確定したものの、総じて苦しいシーズンだったと言えよう。
ただ、その中でもすべてが悪かったわけではなく、19歳のGKピサノ アレックス幸冬堀尾は、第14節・清水戦でリーグ戦初出場を果たすと、3-0の勝利に大きく貢献。その後、高さのあるセービングや19歳とは思えぬ落ち着いたビルドアップでチームに勝利を呼び込むと、7月の東アジアE-1選手権で日本代表に初選出されるなどシンデレラボーイとなった。この最終節は「すごく責任がかかる試合だと思う。来季にもつながるし、成長するためにもすごく大事な試合になる。しっかりと来季につなげられるように良い準備をしたいと思います」(ピサノ アレックス幸冬堀尾)と待ち望んでいる。
もう1人、ベテランとして充実したシーズンになったのが稲垣 祥。豊富な運動量とアグレッシブな守備を信条とする背番号15は、中盤の守備的なポジションの選手でありながらチームトップの10ゴールを挙げている。「大好物」というミドルシュートや成功率100%のPKなどで得点を重ねたが、第16節・京都戦での約70メートルを走り切って決めたゴールは、「あれこそ自分らしい特長を出せたゴール」(稲垣 祥)だと圧巻のプレーだった。そして最終節もフル出場すれば、念願のフルタイム出場となる。
さらに名古屋は、この試合でホームの観客動員数がクラブとして初めて年間60万人を突破する見込み。苦しいシーズンでも応援し続けてくれたサポーターのためにも、良い試合を見せたいところだ。
アウェイに乗り込む福岡も、今季はジェットコースターのようなシーズンだった。開幕3連敗スタートとなるも、ウノゼロでの3連勝でイーブンに戻し、引き分けを挟んで再び3連勝。第10節終了時点で首位に立った。
しかし、第11節・清水戦で8試合ぶりの黒星を喫してリズムを崩すと、そこから長期の勝ちなし、負けなし、勝ちなしを経て、現在は5戦負けなしの12位で最終節を迎えている。
福岡の注目はDFの安藤 智哉。J1初挑戦となった今季、日本代表に初選出されるなど大きく飛躍した。この26歳のDFは愛知県豊田市出身で、ブレイクした今季の最終戦を生まれ故郷で戦えるのは、サッカーの神様の粋な計らいと言えるかもしれない。初の地元凱旋でどんなプレーを見せるのか楽しみだ。
[ 文:斎藤 孝一 ]
