WESTグループでは勝点5で3チームが並んでいるが、得失点差により名古屋は3位。好発進したとはいえ、まだチームが狙いどおりに機能しているかと言えばそうでもない。前節・G大阪戦は、相手が交代枠を使い切ったあとに負傷者が出るというアクシデントによって途中から10人になったが、最後の壁を突破できずに90分を終えて0-0。PK戦で勝ち、勝点2を獲得したという流れだ。
約20年間、Jリーグで指揮を執ってきたペトロヴィッチ監督は「試合を振り返ると良いところもありましたが、トータルで見ると満足できない部分もあります」と表情を曇らせつつ、「(開幕戦の)清水戦に比べてビルドアップでせかせかしてしまう場面があったり、相手のプレッシャーを恐れて長いボールを選択したりするようなシーンが多くありました」と、その理由を述べた。もちろん新監督が就任しておよそ1カ月で、戦術が浸透し切れていないのは仕方がないこと。その中で今節は1回でも多く、監督もサポーターも納得できる攻撃の形を見せたいところである。
注目は両サイドのウイングバック。2戦連続右ウイングバックでスタメン起用されている中山 克広は、清水戦では決勝ゴールをアシストするなど、「3人目の動き」という新監督の求めるプレーを現状で最も理解できている選手の1人だ。左ウイングバックは和泉 竜司の負傷を受け、前節は開幕戦で3バックの左に入っていた徳元 悠平を1列上げて起用した。
新しい名古屋のチームスタイルとして、両サイドからのクロスは大きなポイントになるプレーだ。上記の2人だけではなく、交代で出場する選手も含めて両ウイングバックには、正確なクロスはもちろん、逆サイドからのクロスを得点に結びつけるようなゴール前での勇気ある働きも期待したい。
対する長崎は8年ぶり二度目のJ1だ。AFCチャンピオンズリーグエリート出場を目標に国内トップカテゴリーに戻ってきたが、開幕から広島、神戸と、近年J1で高い実力を発揮するチームを相手に苦杯をなめた。特に前節・神戸戦の前半は立ち上がりこそ良かったものの、ほとんどシュートを打てずにその差を見せつけられたと言ってもいいだろう。
ただ、それでもすぐに次の試合がやってくるのがプロスポーツの世界。浮き出た課題を1つずつクリアしていくしかない。注目は、2020年から2年間名古屋に在籍していた山﨑 凌吾。パワフルなプレーと献身的な前線からの守備はベテランと呼ばれるようになったいまも衰えず、チームを引っ張る資質もある。古巣戦となれば燃えないはずはない。
両チームは過去に四度対戦し、名古屋の1勝1分2敗。ただ、J1に限れば長崎が2勝と名古屋は勝点をつかんでいない。前回対戦は2018年のJ1第26節で、長崎が4-3と打ち合いを制した。その試合では、現在は長崎の櫛引 一紀が出場こそなかったものの名古屋のベンチに入っていた。彼も初めての豊田スタジアム凱旋となる。名古屋の最も苦しい時期を支えてくれた選手の1人だけに、その雄姿を観たいファンも多いだろう。
[ 文:斎藤 孝一 ]
