千葉は幸先よく先制したものの…。保田堅心の劇的ゴールで引き分けに
インターナショナルマッチウィークの影響で3週間ぶりの明治安田J1、加えて他ジャンルのイベント開催の影響もあり、9月6日の第6節・G大阪戦以来、1カ月強ぶりにフクダ電子アリーナでのJ1リーグ戦開催となったこの試合、20位の千葉がホームに勝点4差で追う15位の長崎を迎えた。
長崎がコイントスでエンドを変えて始まったこの試合は、立ち上がりにスコアが動いた。5分、千葉が相手陣ペナルティーエリアの左脇でFKを得ると、安井 拓也が右足で蹴ったボールは相手の頭をかすめ、GK後藤 雅明は触ることができずにゴール右へ吸い込まれる。今季リーグ戦2試合目の出場、初スタメンとなったボランチの芸術的FKで千葉が先制に成功した。
さらに17分には杉山 直宏のCKをファーサイドの河野 貴志が頭で落とし、相手に当たってこぼれたボールを矢村 健が押し込もうとするが、今度は後藤 雅明に防がれる。39分には安井 拓也の中央を切り裂くスルーパスを受けて抜け出したエリソンがシュートを放つが、これも後藤 雅明の正面。40分にはCKからエドゥアルドがフリーでヘディングシュートを放ったが、ボールは枠を越えた。
前半はボールの位置によってスライドしながらタイトに寄せる千葉の守備に苦しめられてチャンスらしいチャンスを作れなかった長崎は、後半開始から山田 陸に代わって保田 堅心がボランチに入ると、ボールを保持する時間を増やしていく。
一方の千葉も押し込まれる時間が続いたのち、79分に小林 祐介と田中 和樹が途中出場すると、小林 祐介の前への意識と田中 和樹の背後への飛び出しで流れを引き寄せる。81分には、ペナルティーエリア内でボールを奪った矢村 健のパスを受けた途中出場の呉屋 大翔が左足ワンタッチでシュートを放つが、またも後藤 雅明にはじかれて追加点を奪えない。
チャンスを逃す、あるいはピンチを防ぐと流れが変わるのがサッカーの常ではあるが、一度失いかけたペースを長崎がまた引き戻し、相手を押し込む時間が続くと、90+5分だった。小さくなった相手のクリアボールを拾った山口 蛍が右サイドからクロスを送ると、相手の間に入ってフリーになった保田 堅心がヘディングシュート。ボールは必死に体を投げ出した千葉のGKの手から遠ざかるようにゴール左に吸い込まれ、長崎が土壇場で同点に追いついた。追いつかれても気落ちすることなく勝利を目指す千葉は、その3分後に決定機を迎える。相手を押し込み、クリアに対してエドゥアルドや矢村 健が体を投げ出しながら相手陣でボールを奪うと、小林 祐介のパスを左サイドで受けた途中出場のがクロス。相手に当たってこぼれたボールを矢村 健が相手DFや後藤 雅明に寄せられながらなんとかつなぐと、フリーになった呉屋 大翔が途中出場のDFだけが守るゴールに向かってシュートを放つが、ボールは無情にも枠を越えた。試合はそのまま1-1で終了。勝点1を分け合い、長崎は14位、千葉は19位と1つずつ順位を上げた。[ 文:菊地 正典 ]
V・ファーレン長崎
今日は落とせない試合だったので、まず(勝点)1ですけど、しっかりゼロを1にできたというのはホッとしています。その中でやっぱり改善点も多くありますが、やっぱりああやってアディショナルタイムで1個取って、勝点をゼロから1に変えられるようなまとまりもありますし、全員が同じ方向を向いてやっていたからこその最後のゴールだと思うので、良い方向に行っているのかなと思います。 --チームにとっても非常にポジティブな1点だと思うのですけど、ピッチに入ったときはどういった意識でしたか?まずは前半、相手のほうが勢いがありましたし、球際だったりトランジションだったり、そういうベースの部分の走るところだったりというところで上回られていたので、そこで少しでも、自分のそういうベースのところでこのチームに貢献して、チャンスだったら足を振っていくというのは意識していました。
ジェフユナイテッド千葉
監督
前半から決めるべきシーンを作り出せていたので、それを決め切れなかったことで最後にそのツケを払ったというようなゲームだったと思います。こんなことをしていたら当然勝点は積み上がっていかないですし、そのキワの部分での戦い、ここ数試合ずっと言っていますけれど、どっちに転ぶか分からないゲームをずっと落としている(モノにできていない)というところ、それがまた出てしまったなと感じています。とはいえ、それを話した上で、今日の選手の姿勢というか、そういった部分は誇りに思っていると選手には伝えました。 --後半の頭から長崎が保田 堅心選手を入れてきて、中盤でボールを触られる回数が増え、立ち上がりに押し込まれるような形になりましたが、その辺りの変化について監督はどう見られて、どう展望されていましたか?右サイドのところで言うと、まさにそこの部分があったんですけど、そうは言っても一方で自分たちがボールを保持したときには、というところであったり、自分たちがリードしていれば相手が少なからずパワーを出してくるのは当然あったりする中で、そういう部分の想定は当然ありますし、その中で我慢強く戦っていれば、前半でのパフォーマンス、もしくはここ最近続いているパフォーマンスを考えたときに、ダブルボランチを起点にチャンスは作れるというところ。あとは相手が出てくることによって、自分たちが使いたいスペースも有効に使える、相手がブロックを組む前に仕留め切れないかなというような絵を持ちながら、もちろん1-0から2-0とゲームを進められればというところがあったので、やり合いにはなりますが、そこをしっかりと粘り強く対応できれば、逆に自分たちがチャンスを作れるのかなというイメージです。 --最後に鈴木 大輔選手が途中出場しました。相手というより自分たちの戦術的なところもあったかと思いますが、選手たちを落ち着かせる意味合いもあったと思います。選手たちはどうしてもバタバタしてしまう精神的な余裕のなさを小林監督ももどかしく思っているのでしょうか?いや、そんなことはなくて、最後のところで放り込まれるとか、あれだけサイズのある選手が前線にいるので、それはもう致し方ないことだと思っていました。ただ、最後の最後で相手の大南(拓磨)選手が右のウイングバックで、どうしてもそこの折り返しの部分が入ってきたりとか、前半から狙われているというところがあったんですけど、最後にそういった形が相手にとって明確になりかけていたので、そこに対してクロスをしっかりとはね返せる選手ということで米倉(恒貴)を入れました。大輔を入れたのもそういったところです。大輔を入れることによって「明確に守り切るんだよ」というメッセージにもなります。バタバタする部分に関しては、なかなか勝てないチームであれば当然だと思うのですよね。そこでバタバタするなというのは不可能だと思っていて、バタバタしないようになるにはやっぱり結果をつかんで、自信をつかんで、「大丈夫だよ、こういうシーン今までもあったじゃん」ということを積み重ねられるかどうかだと思います。現状であれをバタバタするなというのはすごく難しいとは思うので、その中でそういった形で最後まで守り切ろうと思いました。 --どうしても結果のところ、最後のところにフォーカスがいってしまうと思うのですが、前半から、長崎の前の2人をどう抑えるかというチームとしての守備の形がすごくうまく機能していたと思います。その点の手ごたえはいかがでしょうか?そこに関しては、リーグで言うと第6節のガンバ戦あたりからですかね。少しずつ積み重なっている手ごたえはあるのですけど、手ごたえどうこうじゃなくて結果がすべてなので。そうは言っても、結果をつかむために積み重ねていかなければいけないものがあって、それは自分自身の中で明確で、選手の中でもようやくしっかりと明確にすることができているなと、今日のパフォーマンスをもってして僕自身もそこは強く思うことができました。ロッカーではおそらく皆さんも想像するよう、とんでもない空気にはなりますけど、その中でもやるしかないので。ただ、自分たちが明確になっている部分、あとは顔を上げて力強く進んでいけるか、リバウンドメンタリティーじゃないですけど、これだけのエラーの積み重ねをしているので、1つ、2つつかんだときにより大きなものを自分たちはつかめると思って、それを続けていけるかどうかだと思っています。
V・ファーレン長崎
監督
本当に今日多くのサポーターの皆さまに来ていただいて、それからこのゲームへわれわれももちろん熱量を込めて入っていきました。 サポーターの皆さんもそういう気持ちの中での応援も非常にあって、最後の最後でなんとか同点にできたことは、プラス1という数字というのは満足ではないですが、チームが1つになって戦ってくれた結果だというふうに思っていますので、しっかり受け止めて、次のゲームに向かっていきたいと思います。 ゲームのほうは入りのところで早い時間帯で失点をしてしまったということで、やっぱり少し焦りはあったとは思いますけど、その中でわれわれとしては高い位置でボールを奪いたいというところがまず1つ。それから順を追ってプレッシャーを掛けていくという流れにはなるのですが、正直に言うとなかなか(プレスが)掛からないということで、少し中の構造を変えて、プレッシャーを掛けられるように。それから、その後のプレーもそこが少し機能し出すと良くなったということは感じました。
ジェフユナイテッド千葉
DF 28
河野 貴志
(失点)ゼロで抑えて勝つことがなかなかできていない中で、本当にあと一歩のところまで来ているけど、そこでなかなか決め切れないというのは本当に自分たちの課題でもありますし、あそこで守りに入ったわけではないんですけど、ああいうシチュエーションというのは勝っていたら絶対にありますし、そこのクリアの質はチーム全体として考えていかないといけないところではあります。ただ、試合を通して言えば自分たちのゲームだったかなというのもありますし、続けていくしかないと思います。 --最後に失点してしまいましたが、試合全体でのチームの守備には手ごたえもあるのではないでしょうか?相手を引き込んでしまうと良くないと思うし、ラインコントロールのところはなるべく高く保って、相手が蹴ってくるとなったときは蹴られる瞬間に下がる。そこはもうずっと徹底的に言われているところです。サイドに出たときにどれだけ寄せられるかというところもいまチームとしてやっているところなので、継続して精度を上げていかないといけないところかなと思っています。ただ、クロスからの失点が続いているので、そこはもっとやっていかないといけないと思います。
MF 41
安井 拓也
--五分五分の試合を勝利に持ってこられないというチームとしての課題が出た試合になってしまいました。今日に関しては2点目、3点目を取るチャンスがあった中で、トドメを刺せなかったのがすべてだと思います。チャンスがあった中で止められてしまう、外し続けると、長崎としてもどこか1本取ればいけるというメンタルになったと思います。それを守り切れなかったのもいまのチームの実力だと思うし、個人的には2点目、3点目(を取って)、そこでもっと優位に自分たちが試合を進めることができなかったのが今日の試合になったかなって思います。 --素晴らしいFKを決めた場面について振り返ってください。前日からの練習で自分はキッカーではなく、ずっとナオ(杉山 直宏)がキッカーをやっていた中で、自分が蹴ったら入りそうと思ったので、それを伝えて譲ってもらいました。打ったら入ったという感じなので、良かったです。「ファーに蹴る」と言っていたし、狙っていたので、そのとおりに入って良かったです。