最多観客の歓喜から一転。清水が終盤の逆転で3連勝
水戸史上ホームゲーム最多観客数となる15,116人が集まって行われた一戦。両チームのサポーターの熱気がスタジアムを包む中、勝利への執念がぶつかり合う激戦が繰り広げられた。
3週間の中断期間を経て、今節再開した明治安田J1。より大きな変化を見せたのは水戸だった。夏に新加入のウーゴ、奥村 仁、岡本 一真に加えて、加藤 千尋と家泉 怜依もリーグ戦初先発を飾り、中断前から大幅に先発メンバーを入れ替えて挑んだ。
前半、ペースを握ったのは水戸。清水のロングボール攻撃をことごとくはね返し、セカンドボールを拾いながら攻撃を展開。ボランチの仙波 大志とウーゴが絶妙な距離感をとりながら、テンポよくボールを動かして攻撃を組み立てていった。
16分には左サイドからのクロスをファーサイドに走り込んだ谷口 海斗が頭で折り返し、奥村 仁が左足で合わせる決定機を作り出した。しかし、奥村 仁のシュートはゴール右にそれ、先制のチャンスを逃してしまった。
ただ、その後も水戸が攻め立てる展開が続く。25分と38分にもチャンスを作り出し、45+1分にはセットプレーの流れから再び奥村 仁が決定的なシュートを放ったが、清水の選手のブロックに阻まれてゴールを決め切ることができず、スコアレスのまま前半を終えた。
後半、清水は3トップを交代して反撃に出ようとした。しかし、先制したのは水戸だった。48分、左サイドの谷口 海斗からのスルーパスを受けた加藤 千尋がGKと1対1の局面を迎える。「相手のGKが前に出ていたのが見えた」と振り返る加藤 千尋は冷静に左足でループシュートを放つと、華麗な弧を描きながら、GKの頭上を抜けたボールはそのままゴールに吸い込まれていった。スタジアムは爆発的な歓喜に包まれた。
だが、そこから清水の反撃が始まった。システムを2トップ気味に変更して、前線からのプレスを強化。水戸のビルドアップを封じ込めながら、シンプルに前線にボールを集めて攻撃を仕掛けていった。特に左サイドに配された途中出場・藤井 智也のドリブルの切れ味が良く、再三同サイドからチャンスを作り出していった。
そして75分、左サイドのCKの流れからボールをつないで、最後は藤井 智也が同点ゴールを突き刺して試合を振り出しに戻した。
終盤、勝利への執念をむき出しに、両チームとも相手ゴールに襲いかかっていった。81分、水戸は右サイドを崩してが折り返したボールを、途中出場のが合わせる。勝ち越しゴールを決めたかに思われたが、VARの結果、直前のプレーでオフサイドの判定があり、ゴールは認められなかった。そして90+1分、水戸が押し込んでいた展開の中、清水が電光石火のカウンターを仕掛けた。左サイドでボールを受けた藤井 智也からのパスを引き取ったが、GKの動きを冷静に見ながらゴール右スミに流し込み、勝利をもぎ取った。清水はこれでリーグ戦3連勝。90分通して苦しい時間が多かったが、それでも勝点3を手にする勝負強さを見せたことはチームの成長と言えるだろう。この勢いに乗って上位戦線に食い込んでいきたい。一方、水戸はリーグ戦3連敗。今節も多くのチャンスを作り出したように、狙いとするサッカーはできているだけに、勝利をつかんでこの流れを早く断ち切りたい。[ 文:佐藤 拓也 ]
清水エスパルス
--貴重な決勝点を決めて勝利を手にしました。最後走り切って、勝点3をもぎ取れてすごくうれしかったです。 --あそこまで飛び出そうというところが須貝選手らしかったです。(カウンターからの得点の起点となった)パスカットも賭けと言えば賭けだったんですけど、相手の目線を見て、ここを狙ってくるかなと思ったところでパスカットできました。インターセプトだったので、そこから勢いよく行って、最初は(藤井)智也に背後に走らせようと思ったんですけど、手前で止まったので、自分で仕掛けるより智也が仕掛けたほうが良いと思ってボールを渡したとき、相手が智也に食いついたのが分かったので、智也を信じて、空いたスペースに走り込みました。そうしたら良いボールが来たので、GKを見て流し込むだけでした。 --90分通しては納得いかないプレーだったのでは?自分自身、満足できていなかったですし、切り替えのところとか、満足いくパフォーマンスではなかったです。でも、試合途中に監督に言われて、もう1つスイッチが入りました。もっとやらないといけないなと思ったので、あそこまで走ることができました。
水戸ホーリーホック
監督
ひさびさのリーグ戦、3週空いてのリーグ戦で、クラブ史上最多のファン・サポーターが集まってくれて、最高の雰囲気での試合だったので、しっかり勝利を届けたかったというのが一番の希望でした。本当に悔しい結果になってしまいました。前半から3週間修正したことや準備してきたことを表現してくれて、良い前半だったと思ったんですけど、そこでしっかり得点を奪い切れなかったこともこの結果の原因になってしまったと思っています。後半は良い形から点を取ってくれましたが、守備の粘り強さや最後の耐え切れる力もつけていかないと難しい試合になってしまう。ハーフタイムに伝えたのですが、こういう前半良い形で折り返したときに勝ち切れない試合が百年構想リーグでは多かったので、克服するためにも勝ち切ろうという話をして送り出したんですけど、こういう結果になって残念です。まだまだやることは多い。そういうところを成長していかなければ、こういう結果になってしまうと思っています。 --水戸が押し込んでいた中で2失点目を喫してしまいました。こんな素晴らしい雰囲気の中、勝点3を取りにいかないといけないなという判断をして、チームとしてそういうマインドで戦っていました。そこでのカウンターだったと思いますが、そこのリスク管理のところでの対応力だったり、後半相手の武器である左サイドの選手が躍動していたところもあったので、真瀬(拓海)は我慢強く対応していたと思いますが、そういったちょっとしたことが積み重なった部分があったと思っています。
清水エスパルス
監督
本当に難しいゲームだったと思います。前半は風もあって、全然敵陣でサッカーができませんでした。ある程度、前半は我慢だと思っていました。なんとか後半逆転できて良かったなと思います。こういう難しいゲームを勝ち切るということも自分たちにとって自信になりましたし、公式戦5連勝と来ているので、チームとしては良い雰囲気でできていますし、今日も勝って良かったと思っています。 --後半早い時間帯の失点を喫したときの感情は?できれば失点したくなかったですし、後半は押し込めると思っていたので、できるだけ失点を避けたかったというのが本音です。ただ、時間帯が早く時間はあるので、1つずつというところだと自分の中では考えていました。
水戸ホーリーホック
FW 8
加藤 千尋
前半から自分たちのやりたいことはできていて、その中で点を決められなかったことがゲームを難しくしてしまった要因の1つだと思います。選手個人のスキルの問題なので、そこは課題にしていきたい。先制はできましたけど、ちょっとしたスキのところでやられてしまった。そこは百年構想リーグからの課題なので、チームとして受け止めて次につなげたいと思います。 --ご自身の先制点は芸術的なループシュートでした。イメージどおりでした。GKが前に出ていたのは見えていたので、うまく足に乗せることだけを意識して打ちました。 --コンディションの問題での交代が続きました。準備していなかった形もあったと思いましたが、どんなことを意識して試合を進めましたか?アクシデントの交代もありましたけど、やることは変わらない。やってきたことは誰が出ても変わらない。もうちょっとこうしたほうが良いというところもあったので、反省点としては最後のところでしたね。
MF 19
仙波 大志
前半は自分たちのサッカーができて良かったんですけど、後半の立ち上がりに点を取ってからのプレーが、消極的じゃないけど、蹴って相手ボールにしてしまったので、そこは改善点だと思います。 --先制点後、相手は2トップ気味にしてハイプレスを掛けてきました。その中でピッチ内ではどんな意思疎通が行われていましたか?点を取られる感じはなかったから、要所を抑えていれば大丈夫だと思っていましたけど、セットプレーで(同点ゴールを)やられたので、もったいなかったなと思います。 --あまり無理をしないという意識だったのでしょうか?相手はボールをすぐに蹴ってくるし、蹴ってくるならあまりプレスに行かずにセカンドボールを拾おうとしたんですけど、そこで拾えなかったので、距離感というか、難しかったですね。