今季は互いに新たな監督を擁してスタイルを積み上げてきた。明治安田J2・J3百年構想地域リーグラウンドはともにグループ7位。そして、プレーオフラウンド第1戦はともに延長戦の末に逆転勝利を収めた。この特別シーズンを勝って終わりたいという思いは互いに同じだろう。
ただ、指向するベクトルは対照的だ。
ホームの松本は石﨑 信弘監督の下、ディフェンスを軸にチームを構築。前線からのプレッシングだけでなく、カバーリングや背後のケア、そしてクロス対応などを細部にわたって粘り強く仕込んできた。
地域リーグラウンドではクリーンシート数こそ『4』と少ないものの、総失点数はEAST-Bグループで4番目に少ない『21』。日々のトレーニングで築く圧倒的な運動量をベースとし、大崩れしない粘り強さを練り上げてきた。
それが結実したとも言えるのが、J2山形を破ったプレーオフラウンド第1戦。プレスがハマらずに苦しい展開を余儀なくされたものの、失点を最小限に抑えて反撃を期す。そして、運動量に差が出始めた終盤に追いつき、1-1で迎えた延長戦で試合をひっくり返した。
「ここまで走れる、やり切れる。相手も相当疲れていたのが分かったので、日頃のトレーニングの積み重ねの大事さが分かった」。試合後の宮部 大己はそう振り返る。延長前半の92分に決勝ゴールを奪った村越 凱光も「最後の最後に逆転して、守り切れた。この半年を通して『しっかり成長できているし、変われた』と感じられた」とうなずいた。
対するアウェイの奈良は、大黒 将志監督の下でボールをつなぐスタイルを志向している。1試合平均パス数はJ2・J3百年構想リーグの全40チーム中最多となる545.4本。攻撃力が爆発する試合もあり、地域リーグラウンド最終節ではWEST-Aグループ首位・富山を5-1で撃破した。プレーオフラウンド第1戦ではJ2大分に0-3からの大逆転勝利。今季全カテゴリーを含めて最多となる14得点を奪っている田村 翔太らが松本の堅守を打破し、難しいアウェイで白星をもぎ取れるか。
[ 文:大枝 令 ]
