上位カテゴリーとの対戦で、秋田が失うものはない。ただ、ルヴァンカップに勝ち残っている20チームのうち、J2は秋田、横浜FC、長崎の3チームのみ。秋田はJ2のプライドを懸けて、やるべきことを全力でぶつけて勝利だけを目指す。
新潟は5月19日、明治安田J1第15節で湘南とのアウェイ戦に臨み、先制点を守れず1-2で敗れた。中、外、中と緩急をつけたパスワークで前進し、ニアとファーのクロスを使い分けて相手を揺さぶって崩しに掛かると、30分に長倉 幹樹が決めて先制に成功する。しかし、喜びもつかの間、相手GKのロングフィードの処理でトーマス デンと小島 亨介が交錯し、こぼれ球を決められて35分に追いつかれる。後半に入ると湘南のプレスに前進を阻まれるシーンが増える。すると60分、中盤でボールを奪われ、被ショートカウンターから最後はこぼれ球を押し込まれて逆転された。これにより新潟は勝点16の15位となり、降格圏との勝点差は『2』に縮まった。
新潟は松橋 力蔵監督が指揮を執って3年目。1年目でJ2優勝とJ1昇格を果たし、2年目は昇格初年度で10位。今季はJ1優勝を目標に掲げた中で、思うように勝点を積み上げられずにいる。その要因の1つは負傷者が続出していること。ルヴァンカップの秋田戦に向けては中2日で、秋田までの移動が伴う。難しい状況の中で、松橋監督の選手起用にも注目が集まる。
秋田は5月18日に行われたJ2第16節、アウェイで山形との“奥羽本戦”に臨み、J2昇格後は2分4敗と勝てていなかった山形に2-0で勝利を収めた。16分に小松 蓮の今季リーグ戦での初得点で先制すると、30分にはロングスローのこぼれ球への反応で相手を上回り、青木 翔大が追加点を奪取。その後はボールを動かして崩そうとする山形が押し込む展開になるも、粘り強く守り切って勝利を収め、10位に浮上した。
秋田は5試合ぶりの勝利で、無失点は6試合ぶり。期待のFW小松に得点が生まれるなど攻守で収穫が多く、何より今季の目標とするプレーオフ進出に向け、上位に食らいつく意思をチーム全体で表現したことは大きかった。
秋田は初参戦のルヴァンカップで多くの経験を積むことに成功している。リーグ戦で出場機会のない選手が奮闘し、1回戦で讃岐に、2回戦で湘南に競り勝ち、チーム力の底上げにもつなげてきた。畑 潤基が「J1相手でも戦えることを証明する場。笛が鳴った時点からガンガン行きたい」と力を込めるように、秋田がここで歩みを止めるつもりは微塵もない。
両チームのJ2時代の対戦成績は2勝2敗と五分。高い技術でボールを保持して相手を揺さぶる新潟と、走力・球際・切り替えをベースにロングボールを積極的に使う秋田。志向するスタイルは180度逆で、サッカーというスポーツの多様さを感じられる試合になりそうだ。
今季の秋田はGKのロングフィードを含めたリスタートやセットプレーの攻撃力が高まっており、山形戦の2得点もその形から生まれるなど、相手の対策を上回るパワーを発揮している。新潟に対しても自分たちのスタイルをどれだけ徹底できるか。カテゴリーを超えた激闘が幕を開ける。
[ 文:竹内 松裕 ]

