ホームの松本は2019年のJ2降格から低迷期が続き、現在はJ3で4シーズン目。昨季まで松本で2年間コーチなどを務めた早川 知伸氏が今季から監督として指揮を執り、守備の再構築などを担って現在に至る。
リーグ戦では開幕からは白星に恵まれず、たび重なる積雪の影響でホーム開幕戦として開催される予定だったJ3第5節・長野戦が中止になったほか、トレーニングの日程も変更や短縮を余儀なくされる難しい日々が続いた。しかし、23日の明治安田J3第6節では、相模原に2-0で完勝して、今季初白星。Jリーグ60チームのうち最も遅いホーム開幕戦となった一戦で約8,800人のサポーターとともに勝利の喜びを分かち合った。
陣形は従来の[4-2-3-1]から[3-4-2-1]にシフト。経験豊富な高橋 祥平を3バックの中央に配置しつつ、山本 龍平や小川 大貴らウイングバック陣が高い位置を取れるように調整して臨んだ。その采配も当たっての勝利だった。
昨季チーム得点王の浅川 隼人が20分にヘディングで今季リーグ戦初ゴールをマーク。バックステップを踏んで相手DFの死角に入り、クロスにぴたりと点で合わせる形でネットを揺らした。浅川 隼人はゴール前での職人ぶりをいかんなく発揮し、「まだ(自分自身の今季リーグ戦)初ゴールも初勝利も届けられていなかったので、必ずホーム開幕戦でしっかりゴールとチームの勝利をサポーターの皆さんに届けられるように、立ち上がりからプレーしていた。次につながる1勝だった」とうなずく。
さらに55分、今度はチーム最年長のボランチ・山本 康裕の鮮やかなミドルシュートが決まる。そして2点のリードを守り切り、サンプロ アルウィンに“春”を呼び込んだ。
その熱狂も冷めぬ中2日で、J2の鳥栖とJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド1回戦で対戦する。
2011年以来14年ぶりにJ2で戦う鳥栖は、リーグ開幕3試合は[4-4-2]で臨んで、すべて敗戦。[3-4-2-1]に切り替えた第4節・いわき戦以降は2勝1分とV字回復を遂げている。第5節ではリーグ戦4連勝中だった大宮に1-0で勝利を収めた。
両者ともに連戦となるためそれぞれの顔ぶれは不透明だが、ミラーゲームになる公算が高い。互いにハードワークやアラートさを根幹に据えるチームで、熾烈なデュエルが予想される。
松本の早川 知伸監督は「(鳥栖は)攻撃でどんどんボールホルダーを追い越してくるし、その中でもクオリティーのある選手がいる。それをどう抑えていくか」と警戒。1対1の優位性はカテゴリーが上の鳥栖に軍配が上がるかもしれないが、松本としては意図的にズレを作りながら対抗したいところだ。
両チームは過去にJ1で4回対戦しており、戦績は鳥栖の2勝1分1敗。2019年のJ1第31節は残留争い直接対決となり、ホームの鳥栖がセットプレーから決めた序盤の1点を守り切った。そして、松本はその2戦後の第33節・G大阪戦の敗戦を受けてJ2降格が決定した。
しかし、逆に同年の第8節では松本が1-0で勝利。のちに日本代表で活躍する前田 大然が奪った先制ゴールが決勝点となった。これが松本にとってJ1のホームゲームで最後の白星となっている。
それから6年。両チームともにカテゴリーを下げた状況で相まみえる。J3の松本にとっては格上で、若き選手たちは鼻息も荒い。本間 ジャスティンは「結果を残せるかどうか。残せずに『やっぱりこんなレベルなんだ』と思われるのはイヤだし、違いを見せるしかない」と力を込める。
[ 文:大枝 令 ]
