こうして川崎Fには圧倒的な力を見せつけられているが、平岡 宏章監督が就任してからの清水はようやく成績が安定しつつある。平岡監督就任後は5試合で3勝1分1敗と白星が先行している。
それでも前節・湘南戦は悔しい試合になった。59分に左CKから最後は中川 寛斗に押し込まれて先制を許したが、その5分後にカルリーニョス ジュニオのゴールで同点に。そこから終盤にかけて相手を圧倒し、何度もゴールに迫るが得点を決めることができず、勝点差1の対決で順位を逆転することができなかった。
「決め切るチャンスも何度かあったので、そこで仕留めて、試合を勝てるようになっていかないと上には行けないと思っている」と試合後に話した平岡監督の厳しい表情が印象に残った。
ただ、第28節の札幌戦を除けば複数失点は喫しておらず、守備の立て直しが進んでいることに異論は出ないだろう。ファン ソッコ、立田 悠悟、ヴァウド、そして古巣対決となるエウシーニョの4バックは今季一番の安定感を見せている。ここで無失点に抑えることになれば、来季にもつながる成果となるだろう。今季2試合で10失点というこれまでの川崎F戦との違いを見せたい。
一方、川崎Fにとっては今季のJ1優勝決定後初の試合となり、また10日ぶりのゲームという、精神的にも肉体的にもフレッシュな状態で今節に臨むことになる。
直近の試合であるG大阪戦は1位と2位の直接対決だった。しかし、意外な結末を迎えた。22分にレアンドロ ダミアンがゴールを決めて口火を切ると、前半終了間際に家長 昭博が追加点、後半に入り家長が2得点を挙げてハットトリックを達成する。仕上げは90分、齋藤 学の今季初ゴールで5点目。今季を象徴するような圧倒的な強さを見せて優勝を決めた。
これで終わりではもちろんない。試合後、鬼木 達は優勝の余韻が冷めやらぬ中で、「残りのゲームと、もう1つのタイトルに向かって頑張ってやっていきたいと思っていますので、これからも応援をよろしくお願いします」と話した。「もう1つのタイトル」=天皇杯とともに、残りのリーグ戦は記録との勝負にもなりそうだ。すでに更新している最多勝利数、最多勝点をこれからどこまで伸ばすのか。そしてあと5点に迫った、川崎Fが2006年に記録した最多得点である『84』を超えられるか。その他、さまざまな記録ずくめのシーズンにするためには、まだまだやることはある。そして、今季限りでの現役引退を発表している中村 憲剛の活躍をどれだけ見られるかも注目だ。
[ 文:田中 芳樹 ]

