FC東京との開幕戦では思いのほか早い戦術の浸透を披露し、後方からのビルドアップでボールを握り、ボールを失ったあとも素早いプレスバックを敢行。前線の外国籍選手ら主力のコンディションが不十分だったFC東京にほとんど何もさせずに試合を支配した。
ただその一方で、主導権を握り続けながらもチャンスの数、特に決定機と言えるシーンはそれほど多くは創出できずに、得点はセットプレーのこぼれ球を押し込んだ形のみ。試合終盤には逆に、不用意に自陣でファウルを犯し、相手にセットプレーのチャンスを提供。これをきっちりと決められてしまい、新体制での初勝利を逃してしまった。
前節はアウェイに乗り込んで鳥栖と対戦したが、ある意味新スタイルの先輩とも言える相手に完成度の差を見せつけられた。[3-1-4-2]の鳥栖にプレッシャーを掛けようとするも、鳥栖は左CBの中野 伸哉も前に張り出すなど可変してビルドアップ。前線に5~6枚が代わる代わる顔を出し、内外や段差を巧みに使い分ける攻撃に四苦八苦。
「プレスを掛けていきたかったが、うまくハマる場合と突破されてしまう場合があった。相手のワイドの立ち位置によってなかなか前に出られず、中間点を使われて下げざるを得ない状況を作られていた」(リカルド ロドリゲス監督)と、不本意な撤退守備を強いられる時間が長くなった。
そして2失点。よく耐えながらも、パスコースやドリブルコースの切り方、寄せの甘さ、ボールをはじく方向やプレーを止めてしまったことなど、ちょっとしたほころびの積み重ねにより防ぎ切ることができなかった。後半は修正によりプレスがハマる時間も増えていただけに、悔やまれる失点だった。
ただ、それよりも深刻なのは攻撃面だろうか。「ウイングバックがかなり前に出てきていたので、そこの背後を狙っていこう」(山中 亮輔)と、裏への素早い攻撃で幾度かチャンスを構築したが、総数は不足し、また数少ない決定機もシュートはミートしなかった。
今節はまた、ボール保持を志向する横浜FCとの対戦となる。お互いの、いかに自分たちがボールを握るか、いかに相手に握らせないかの攻防が1つカギを握るだろうか。
アウェイに乗り込む横浜FCもいまだ未勝利。開幕戦、前節ともに早い時間帯で複数失点を喫してしまい、落ち着きを取り戻して反攻を仕掛けるも時すでに遅し、という展開が続いている。まずは立ち上がりに注意して失点しないことが重要になるが、浦和が開始からプレッシャーを掛ける展開もあり得る。
逆に横浜FCも前節の浦和を見て、まずは激しくプレスを掛ける選択をするかもしれない。お互いが自分たちの保持を得ようとするか、相手を阻害することに注力するか。リカルド ロドリゲス監督と下平 隆宏監督、両将の駆け引きにも注目したい。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
