ホームに名古屋を迎えて戦った前節の神戸。開幕以来負けなしと好調な者同士の激突となった中で、動いたスコアは19分に名古屋の稲垣 祥が挙げた1得点のみ。神戸は前後半にわたってボール保持の時間を長くし、後半には中2日の連戦ということもあり先発を外れていた井上 潮音や古橋 亨梧ら主力を投入したものの、最後まで堅守を誇る名古屋の守備ブロックを攻略することができなかった。
無得点に終わった三浦 淳寛監督は、「守備を固めた相手を崩すところに関しては課題が残った」とし、「誰かがドリブルで仕掛けるとか、背後に抜け出すとか、CBを引っ張り出す、あとミドルシュートですね。潮音が後半1本ありましたが、そういう相手がイヤがることをしないとなかなか人数をかけて守備を固めている相手を崩すのは難しい」とも述べ、アイディアを出していくことの大切さを口にした。
また、名古屋戦の失点は自陣でのパスミスが発端ともなっている。ミスやボールロストに関しては結果にこそ悪影響を及ぼさなかっただけで、過去にも多く見られた試合はあった。不用意なロストを減らし、敵陣でのサッカーを長くできるかは、攻守の切り替えやポゼッションを信条とするチームがリズム感をもって戦う上で不可欠のテーマでもあるだろう。反省を糧とし、さらなる質的向上を次の試合で発揮することが期待される。
ただ、その“次の試合”は一筋縄ではいかない。対峙するのは、昨季王者の川崎Fだ。
最強の称号を一手に引き受け、独走優勝した昨季の延長戦を戦っているかのように開幕ダッシュに成功しているディフェンディングチャンピオン。FUJI XEROX SUPER CUPでG大阪を破って今季初タイトルを獲得すると、開幕戦の横浜FMを皮切りに、C大阪、仙台、徳島、柏と戦い公式戦6連勝。仙台に5-1で圧勝した一方、前節はウノゼロと粘り強さを発揮し、うち3試合は無失点勝利を飾っている。
柏戦を振り返った鬼木 達監督は「前後半を通して苦しいゲームでしたけど、選手は最後まで力を振り絞ってやってくれたことで大事な勝点3が取れた」と選手の戦いぶりを称賛するなど、さまざまな勝ちパターンでJ1リーグ戦を席巻している状況だ。
ポゼッションや素早い攻守の切り替えという、同じ方向性のチームスタイルを持つ両者だけに、どちらのチームスタイルのクオリティーが勝るかは最大の見どころになるだろう。同時に今季の両チームは途中出場した選手の活躍や後半のベンチワークが機能していることも特徴的だ。川崎Fは小林 悠かレアンドロ ダミアンか、三笘 薫か長谷川 竜也か。誰が先発し、途中から出場してもチーム力を落とさないどころか、着実に個々のカラーをピッチで表現する。一方の神戸も増山 朝陽らの途中投入に合わせ、郷家 友太のボランチや古橋の前線への配置換えが勝点獲得の大きな力になってきた。
神戸が昨季王者を破り、躍進への勢いをつかむのか。川崎Fが難敵を撃破し、開幕連勝を伸ばすのか。ベンチワークを含めた90分の攻防は、見逃せないシーンの連続となりそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]
