「Jリーグに限らず、世界のサッカーリーグを見渡しても、“今年はリーグ一強でない状況にできそう”という中で、2試合連続で同一カードが組まれているのは、世界初のことかもしれない。そこをなんとか乗り切れるように全力でやりたいと思います」と名古屋のマッシモ フィッカデンティ監督は意気込みを見せる。
その言葉にあるように、川崎Fは昨季、勝点83と2位に18ポイント差をつけ圧倒的な強さで優勝を果たした。だが、その昨季、開幕2戦目から10連勝と波に乗る川崎Fに、初めて土をつけたのは今節対戦する名古屋。ホーム・豊田スタジアムで迎え撃った試合は、名古屋が前半終了間際に挙げた虎の子の1点を、統率のとれた守備で守り切り“ウノゼロ”で勝利を収めた。
この首位攻防2連戦も初戦は豊田スタジアムでの開催。名古屋としては昨季同様に絶対王者を打ち負かしたいところだ。だが当然のことながら簡単なミッションにはなり得ない。
川崎Fはここ4年で3回のリーグ優勝を誇る。今季もここまで12試合で30得点と、高い攻撃力が最大の武器であり、攻撃パターンも多彩でどこからでも誰からでも得点を狙うことができる。一方で守備面でも「リーグの中でもずば抜けたレベルにある」(マッシモ フィッカデンティ監督)と攻守においてスキがない。まさに絶対王者だ。
名古屋とすれば昨季と同じように、自分たちの一番の武器である守備の堅さをベースにしつつ、なんとか1点を挙げて守り切りたいところ。
そこでポイントとなるのが中盤の底でプレーする稲垣 祥や米本 拓司。ボール奪取能力が非常に高い2人だが、奪ったところで川崎Fはすぐに奪い返しにくる。その川崎Fのプレッシャーをいかに回避するか、または前線にチャンスとなるボールを送り込めるかが勝負のポイントになるだろう。
またボールの保持率は川崎Fが優勢になることが予想される。名古屋も相手にボールを持たせた戦い方が得意だが、それにも限度があり、川崎Fに攻め込ませ過ぎないようにある程度自分たちがボールを回し、余裕を持つ時間が欲しい。90分間守ってばかりでは息つく暇もなくなってしまう。
対する川崎Fは、自分たちの姿勢を崩すことなく戦いを進めるだろう。直近の第10節は広島を相手に引き分けに終わったが、20本ものシュートを放ちチャンスはより多く作った。5人の交代枠を使ったあとに小林 悠が脚を気にするアクシデントはあったものの、敗戦という最悪の事態はまぬがれ、引き分けに終わったことで、あらためて名古屋戦に向けてネジを巻き直して乗り込む。
そして日程面でも川崎Fは中10日、名古屋は中6日で川崎Fがやや有利。古巣対戦となるジョアン シミッチや旗手 怜央といった負傷者が戻ってくるという情報もある。
もし名古屋が連敗ともなれば、一気に優勝争いの火が消えかねない大一番。「まずはホームの初戦に絶対勝つ。2戦目はそれから考える」と稲垣。春の終わりの一大決戦。日本中のJリーグファンが注目する戦いになる。
[ 文:斎藤 孝一 ]
