昨季最終節には新型コロナウイルス禍の下、鳥栖のホーム・駅前不動産スタジアムに8,966人の観客を集め、中位同士で白熱の“九州ダービー”を演じると、2-2で勝点1を分け合った両者。あれから5カ月余、今節は明暗分かれた立ち位置でのマッチアップとなる。
昨季は出遅れた序盤から立て直し、秋以降に勝点を積んで11位でフィニッシュした大分だが、今季は明治安田J1第5節から7連敗と昨季以上の苦戦を強いられ、12試合を消化して2勝2分8敗の勝点8で17位と降格圏に低迷している。特徴的なスタイルで戦うチームを昨季まで主力として支えていた選手たちが移籍して戦力が入れ替わったことで、新チームへの戦術浸透に時間を要しており、組織が未成熟な状態で連戦を強いられたことも苦戦の要因の1つだ。さらに今季は20チーム中4チームがJ2降格というレギュレーションの下、対戦相手の戦い方や強度のもたらし方がよりシビアになっていることも、厳しさを増幅している。
なす術なく敗れた印象の前節・湘南戦について、片野坂 知宏監督は「対湘南というところを意識し過ぎて、これまで良くなってきていたところを変えてしまった。自分の準備不足」と自らを責め、チームのストロングポイントを見直し、選手がよりパワーを使えるような状況を作りたいと話した。
一方の鳥栖は、根気強く積み上げた昨季の経験値を一気に開花させている印象だ。14試合を終えて8勝3分3敗の勝点27で4位。開幕3連勝、6戦無敗でスタートダッシュを決めると、4月には3敗を喫したものの、第10節からはまた3連勝、前節も広島とスコアレスドローで4戦無敗となっている。若く勢いのある選手を含めたメンバーで繰り広げる金 明輝監督仕込みの組織的なサッカーは、多彩なフォーメーションを使い分けながら、従来のハードワークをより効果的に攻守に反映させてきた。しっかりとオーガナイズされたアグレッシブな守備により、総失点は『5』でリーグ最少。得点のほうも6ゴールの山下 敬大、4ゴールの林 大地らが計19得点を挙げている。
ここまでクリーンシートが前々節・清水戦のみで19失点、総得点も『8』と攻守に結果が出ていない大分としては分の悪い相手だ。だが、だからといってみすみす劣勢を受け入れるわけにはいかない。今節はまた仕切り直して勝利を目指す戦いに臨む。
「いかに自分たちのサッカーができるかというところにフォーカスしていきたい。好調なチームに勝てばみんなの自信にもなるので、この“九州ダービー”を良い転機としたい。大事な一戦になる」と話すのは、チーム最年長のスピードスター・松本 怜。17歳・中野 伸哉とマッチアップする可能性もあるが、良い意味でベテラン感を出さずに「ガンガン走って、走り負けない」と誓った。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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