湘南は、前節も“神奈川ダービー”を戦っていた。相手は首位に立つ川崎F。15分に、大橋 祐紀が平岡 大陽との連係からペナルティーエリア内深い位置へ進入してクロス。ニアサイドへ走り込んできた田中 聡がこれに合わせ、先制した。その後も決定機を何度も作り、良い流れでハーフタイムを迎えていたが、後半に失速。66分に同点弾を決められ、試合は引き分けで終わるかと思われた。しかし、90+4分に決勝弾を献上。悔しい敗戦を喫してしまっている。
だが、ダービーマッチの終了間際に勝点をこぼしたのは湘南だけではなかった。
横浜FMは前節、横浜FCと“横浜ダービー”を戦った。1点を追いかける形で迎えた後半、62分にPKを得ると、マルコス ジュニオールがしっかりと決めて同点に。その後、退場者を出しながらも、77分に扇原 貴宏のスルーパスから前田 大然が決めて逆転に成功した。このまま逃げ切りたいところだったが、89分にロングスローの流れから2失点目を許してしまい、試合終了。首位・川崎Fとの勝点差が『9』に広がる手痛いドローになってしまった。
横浜FMにとって、これ以上勝点を逃してしまうことは、優勝戦線からの脱落を意味することになる。
「残り全部勝つ気持ちで戦わないと後悔すると思う。これからもしっかり戦っていきます」 そう試合後のオンライン会見で悔しさをにじませていた前田は、逆転優勝へ闘志を燃やしている。
一方で負けられないのは湘南も同じ。前節、17位の徳島が18位・仙台との直接対決で勝利。4試合連続で勝ちがない湘南との勝点差は『1』にまで縮まっている。J2降格圏がすぐそこまで近づいており、何より山口 智新監督の下、まだ公式戦で勝利を挙げられていない。
「こういう難しい状況で監督を引き受けてくださった智さんに、1つでも多くの勝ちを選手たちが届けなければいけない。勝ちに対してもっとどん欲になって、智さんが伝えてくれていることをしっかり体現して勝ちにつなげたいです」 キャプテンの石原 広教は以前、そう話していた。J1残留うんぬんよりはまず、新監督に早く勝利をプレゼントしようと、選手たちの意思統一はできている。
川崎F戦での先制点について田中が「監督が智さんになってから、『ペナ(ペナルティーエリア)脇のスペースを取りにいけ』と散々言われていて、練習でもたくさんやってきたとおりの形だった」と語っていたように、山口監督が練習から伝えてきていることはチームに少しずつ浸透している様子。また、湘南のベースはそのままに、「ポジショニングとか、細かいところにこだわるようになりました」(畑 大雅)と、いち早くゴールを目指すための準備の部分を新指揮官は徹底している。それが結果という形で、次の“神奈川ダービー”では実を結ぶか。
それぞれの思惑を抱く神奈川の2クラブが、ダービー2連戦で前節の悪い内容を払しょくしようとぶつかり合う。
[ 文:舞野 隼大 ]
