ただ、その間の浦和には本当にさまざまな出来事があった。
11月13日にはクラブから「重大な会見」が行われることが発表される。誰もがそうだろうと覚悟を決めつつ、そうあってほしくないと願う中、翌14日には阿部 勇樹の引退会見が行われた。さらに畳みかけるように、16日には槙野 智章の契約満了を発表。2人のレジェンドが去ることが決まり、そうでなくても変革の最中にあった浦和の時計の針は、さらに進む。この2人についてここで語るにはスペースがあまりにも足らないが、2人ともが重要な提言を残すことになった。そう、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)についての重要性である。
阿部は浦和が初めてACLを制した11月14日を会見の日に選び、「ACLに出ないと、クラブでは海外のチームと試合をする機会がない。多くの選手にそういった雰囲気を経験してほしいと思うし、そういった経験はいまいる選手たちがさらに上に行くために必要なこと」と語った。
槙野も自身の去就に葛藤がある中、「Jリーグでも力をつけることはできるが、ACLの舞台での成長の幅はものすごく大きい。レッズはACLの舞台に行かなければいけないと思っている」とアジアでの経験の重要性を説いた。
現在の順位や再建途上のチーム状況から、アジアへの切符を取るのは来季でも遅くない、とも考えていた。しかしやはりこれらの言葉を聞くと「早過ぎる」という懸念は浦和にとって無用の長物なのだろう。アジアで勝てずに苦労するとしても、それを経験として糧にできるのが浦和なのだ。過程としては全力で権利を取りにいくべきなのだと思わされた。
なおさらのこと、今節の横浜FM戦は勝ちにいくべきだし、対アジアを想定するにしてもピッタリの強豪だ。前田 大然は代表帰りの隔離期間もあり出場が微妙だろうが、そのスピードは国内随一。さらにはレオ セアラ、エウベル、マルコス ジュニオール、チアゴ マルチンス、ティーラトンと一芸にも総合力にも優れた外国籍選手を擁する。川崎Fの後塵を拝することにはなったが、パワーとスピードでは図抜けており、例年であれば優勝に値する勝点と得失点差を稼いでいる。
まずはこの強敵を突破しないことには、リーグ4位を確保しての滑り込みも、天皇杯を制してのストレートインも視野に入ってこないだろう。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
