いずれも前節の結果をもって来季のJ2降格が決定した同士。いわゆる「消化試合」と呼ばれるシチュエーションではあるが、現在最下位の横浜FCの勝点は『27』。勝利すれば勝点29の18位・大分を抜いて、最下位脱出できる状況だ。一方の大分も横浜FCに敗れ、19位・仙台の結果次第では最下位転落の可能性があり、意地を見せたいところ。さらに今節は大分にとってはホーム最終戦。12月12日の天皇杯準々決勝も等々力陸上競技場開催のため、ホームに集まったファンやサポーターたちに、今季の応援への感謝を勝利という結果で伝えたい。
大分は前節、アウェイで鹿島と対戦。他会場の結果次第で勝たなくては降格が決まるという状況で、相手との力量差を前提に慎重にバランスをとりながらしのぎ、ラスト10分で攻撃のギアを上げる戦法に出た。プランどおり無失点で試合を進めたが、攻撃の迫力を醸し出せず0-0で終了。
横浜FCの前節はホームでの神戸戦。失点後はチャンスも築き、後半は相手のブロックを攻略しようと多彩に攻めたが、ここぞというポイントでの精度不足でゴールネットを揺らせず、0-2で敗れている。
シーズン序盤から下位に沈んだ両チームは、夏の移籍期間に戦力補強を行い、それぞれに降格圏脱出を図ったが、その方向性はまったく異なるものとなった。大分は指揮6年目の片野坂 知宏監督がこれまでに積み上げてきた組織的スタイルを継続しつつポイントを強化する狙いで、呉屋 大翔、増山 朝陽、梅崎 司、野嶽 惇也の4名を獲得。いずれもJリーグで豊富なプレー経験を持ち、起用法も計算できる即戦力だが、今季の予算の範囲内でのテコ入れとなった。横浜FCのほうは新たに予算をつぎ込み、全ポジションにわたる5人の外国籍選手で“助っ人パワー”に期待。そのうち、Jリーグでのプレー経験を持つのはアルトゥール シルバのみで、サウロ ミネイロ、フェリペ ヴィゼウ、ガブリエウ、スベンド ブローダーセンは初来日。ある意味、“大博打”に出た形だった。
結果的には両軍ともにJ1残留を勝ち取ることはできなかったが、それぞれの方向性でチームに新たな刺激はもたらされている。片野坂監督は横浜FCの資金力に「正直うらやましい」と思わず本音も漏らしつつ、「われわれはとにかく予算の範囲を守り、今季獲得した2人の外国籍選手もコロナ禍の影響で合流が遅れた中で、一歩一歩トレーニングから積み上げて、やっとチームに安定感が出てきた」と、許された条件下でベストを尽くしてきたことを自負。「相手の外国籍選手は強力なので簡単にはいかないだろうが、サッカーは個の力の部分だけで勝負が決まるのではないというところを、われわれが勝って証明しなくてはならない」と意地を見せる構えだ。
前節は加入後4ゴールでチームの浮上に貢献してきたサウロ ミネイロが欠場したが、ガブリエウは復帰した横浜FC。マギーニョも含めた外国籍選手のパワフルなプレーで相手を上回る場面も多く作った。今節、大分の粘り強い守備を破れるか否か。
来季はJ2で対峙することになるチームが、プロのプライドを懸けて戦う一戦。不本意な順位となった今季の、最後の力を振りしぼる。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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