横浜FMは敵地に乗り込んだ前節、終盤戦で猛追してきた3位・神戸を2-0で下し、来季のAFCチャンピオンズリーグ本戦ストレートインとなる2位を確定させた。プレッシャーが掛かる上位対決で早々に落ち着きをもたらしたのが前田の先制ゴール。23分、レオ セアラの浮き球パスに対して相手DFとGKがお見合いする中、猛然と突っ込んでネットを揺らす。その後も粘り強く戦いながら、終盤に途中出場の仲川 輝人が今季2点目を奪って試合を終わらせた。
今節の注目プレーヤーは、なんといっても得点王に王手がかかる前田だろう。「(得点王は)もちろん狙っているが、チームの勝利が一番。簡単に誰でも獲れるものではないのでチャンスがあれば狙っていくが、そればっかり見ると、自分の良さが出ないし、勝利にも貢献できなくなる。まずは全力で戦って走って、その中でゴールを決めたい」。周りが騒がしくなる中でも、チームを優先する姿勢は崩さない。
ただ、目の前にライバルがいることで、いつも以上に後方支援が期待できそうだ。前田の1つ年下の渡辺 皓太は言葉に力を込める。「みんなで少し話した。(レアンドロ ダミアンに)意識し過ぎてもダメだが、なんとしても(ゴールを)取らせず、自分たちが良いボールを出せば、大然くんが取ってくれると思う」。サポートを誓った上でこうも続ける。「もう優勝はできないが、今年のチャンピオンチームである川崎Fを倒しにいくだけ。マリノスが強いところを見せる」。
優勝を逸した悔しさは決して晴れることはない。ただ、最強王者を倒せば、間違いなく来季につながる。何より同カード3連敗中の横浜FMとしては、意地とプライドを懸けた“神奈川ダービー”で2年連続シーズンダブルを喫することは受け入れられない。
対する川崎Fもレアンドロ ダミアンの得点王争いに向け、モチベーションは高い。G大阪を4-1で退けた前節は山根 視来とのホットラインが開通し、2得点を積み上げてとうとう前田に追いついた。2アシストした山根は「チームの勝利が一番」と前置きした上で、「ダミアンがいつも良いポジションにいてゴールを取ってくれる。そのダミアンのゴールと勝利が直結しているので、まずは勝利を頭に置いている」。前田同様、勝ちに徹することで個人タイトルがついてくるという思考プロセスだ。
ただ観る側からすれば、リーグ1、2位の得点力を誇る両者が、それぞれのエースにどう点を取らせるのかは見どころの1つ。エンターテインメント性を兼ね備えた、J最高峰の戦いから目が離せない。
[ 文:大林 洋平 ]

