昨季の最終節にJ1残留を果たした湘南は、5シーズン連続でのJ1での戦いとなる。毎年残留争いを強いられる湘南だが、今季は例年とどこか違う雰囲気が漂っている。
シーズンオフになると、毎年のように主力選手を引き抜かれていた湘南だが、今季はほとんどの選手の慰留に成功。谷 晃生、杉岡 大暉も期限付き移籍期間を延長した。さらに瀬川 祐輔、永木 亮太、米本 拓司という経験と実力がある選手も加わったことで、選手層はかなり厚く、チーム内で熾烈な争いが日々繰り広げられている。
戦力が充実している湘南が掲げる今季の目標は『リーグ5位以内・勝点55以上の獲得』。J1残留を目指す例年とは大きくかけ離れた目標だが、それを達成するだけのポテンシャルは十分にある。
昨季の成績は7勝16分15敗、36得点41失点というものだった。引き分けの数はリーグ最多。この勝点1の積み重ねが残留につながったが、勝点2を取りこぼしてきたことでシーズン終盤まで苦しんでしまったことも事実。敗れた試合もロースコアが多く、守備の堅さを示すことはできたが、決定力不足によって勝ち切れない試合が続いた。
今季のテーマはゴール数をいかに増やすか。山口 智監督は決定力を上げる取り組みをキャンプから重点的に行ったようだが、開幕戦でその成果を発揮できるか。
「キャンプからチームで良い準備ができている」と田中 聡は手ごたえを口にしていたが、谷は「開幕戦なので堅い試合になるんじゃないかと思う」と予想。「そういった中でいかにアグレッシブに、自分たちがやってきたものを恐れずチャレンジできるかが必要なことだと思います」と話す。シーズンの始まりを良いものにするためにも、開幕戦が持つ独特な空気に呑まれないメンタリティーが重要だ。
一方の柏はシーズンオフに多くの主力選手がチームを去った。ネルシーニョ監督の第二次政権4年目という積み重ねはあるが、ドウグラス、小屋松 知哉、中村 慶太ら新加入選手が開幕時点でどこまで融合できているかは重要なポイントだ。柏も湘南と同じく、昨季は残留争いに苦しんだ。「今季は昨季と違う」ということをサポーターに示すためにも、開幕戦は大事な試合になる。
湘南vs柏のカードで思い出されるのは、昨季の明治安田J1第20節だ。湘南が先制し追いつかれながらも柏を突き放したが、VARのチェックによってゴールが二度取り消される。しまいには後半アディショナルタイムの12分間に3失点したことで、2-4で敗れた。しかし、今季は勝つための試合運びを知っている永木ら頼もしい選手がいる。
ゴールを一つひとつ着実に重ね、昨季の二の舞にならないよう落ち着いた試合運びをしていけば勝利は手に入る。この開幕戦は湘南がいつもと違うということを示し、長いシーズンを戦っていく上で良いお手本となる試合にしたい。
[ 文:舞野 隼大 ]
