豊田スタジアムで行われるのは、昨季数々の守備の記録を打ち立てながら5位に終わった名古屋と、3位でAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフに出場する神戸という昨季の上位対決。今季は両チームともにリーグ優勝を目標に掲げており、見どころが多く熱いゲームになることが予想される。
昨季のJリーグYBCルヴァンカップを制した名古屋は、マッシモ フィッカデンティ監督との契約を満了し、日本人監督の中でも屈指の実績を誇る長谷川 健太監督を招聘した。クラブの狙いは魅力のあふれるチームに進化させること。堅守の名古屋がどんなスタイルのサッカーに変貌を遂げるのかが、最初の注目ポイントだ。
そのヒントを長谷川監督は就任会見で次のように話している。
「攻撃に関して、昨季は38試合で44得点、一昨季は(34試合で)45得点というのは寂しい。50点以上取れないと優勝には手が届かないので、攻撃力をさらに上げていきたい」 盤石の守備を誇った名古屋のアキレス腱は得点力。昨季のチーム得点王は稲垣 祥の8得点であり、3年続けて2ケタスコアラーを出していない。それを向上させるために必要なのは、得点パターンのバリエーションを増やすことだろう。
「もっと選手に動きがあるというか、もう少し飛び出していくようなプレーが増えていけば、見ているファンも楽しいし、得点も増えていく。もっとゴールに直結する攻撃をしたい」とサイドからの仕掛けが主体だった攻撃に、長谷川監督は変化をもたらす。
攻撃を活性化させるキーマンとして注目したいのが、新戦力の仙頭 啓矢だ。高い実力を持ち、昨季の鳥栖で主力として活躍したプロ6年目の27歳は、豊富な運動量を保ちつつ得点に直結するパスが出せるところが魅力。なおかつFWとしての経験も豊富で得点力にも期待でき、プレシーズンの練習試合でも得点を重ねた。名古屋は柿谷 曜一朗が盲腸の手術で出遅れたこともあり、この新しい力がチームにどんな影響を与えるのかが序盤のカギとなるだろう。
対する神戸は言わずと知れたタレント軍団。ベルギー代表DFトーマス フェルマーレンが引退したものの、浦和から槙野 智章を獲得。同じく浦和から攻撃に変化をつけられるドリブラーの汰木 康也、横浜FMから正確な左足のキックを持つ扇原 貴宏など実力者を補強。もちろんW杯で優勝経験を持つスペインの至宝・アンドレス イニエスタや日本代表FW大迫 勇也も健在で、どこからでも得点が取れる攻撃陣は相手にとって脅威となる。戦術的にも継続され、リーグ優勝どころかACL制覇との2冠も十分に射程圏内にある。
長いシーズンを戦う中で、開幕戦を34試合中の1試合と捉える向きもあるが、今後に勢いをつけるために大事な試合であることは間違いない。優勝を狙う両チームのどちらが先手をとるか、要注目の好カードだ。
[ 文:斎藤 孝一 ]
