昨季終盤戦から山口 智監督とともに積み上げてきたものが形になっている印象があったが、開始3分に先制ゴールを奪うと、面白いように得点が決まっていった。その中心にいたのは大橋 祐紀だった。
これまで、思うようにゴールを重ねられずに悩んでいたFWが抜群の決定力を発揮した。1点目は、ショートカウンターから杉岡 大暉の折り返しにニアで合わせ、狭いコースへと流し込んだ。町野 修斗のラストパスを受けて決めた2、3点目は、どちらも相手GKとほとんど1対1の状況。簡単そうに見えて難しいシュートをGKの手が届かないコースへ見事に打ち込んだ。昨季までの大橋ならシュートをGKの正面にぶつけてしまったり、コースを狙い過ぎて枠から外してしまったりという場面が見られがちだったが、今季は違っていた。
大橋は、昨季途中に加入した阿部 浩之からゴール前での体の向きや、シュートを両足で打てる位置を教わったそうで、「“入った・入らなかった”ではなくて、“狙ったところに打って決められたか・決められなかったか”が大事。偶然ではなく、どれだけ必然的なプレーができるかが課題です」と話していた。今までは不確定的だったシュートをどう蹴れば狙ったコースへと飛ばせるのか思考し続け、練習に打ち込んでいたからこそ決定力が大幅に高まった。
そしてもう1つの大きな収穫が、新加入・小野瀬 康介の活躍だった。圧巻だったのは、64分に決めたボレーシュート。CKを得た湘南は、デザインされた動きから小野瀬がフリーになり、ゴール左スミへ叩き込んだ。それ以外にも中盤で持ち味のテクニックを発揮してボールを散らし、ゴールへと前進する一助となっていた。彼の存在は、湘南が目標としている『5位以内』を本気で達成するために今後も重要になってくるはずだ。
今節は『フライデーナイトJリーグ』であり、湘南にとってはホーム開幕戦。相手は、同じ神奈川県に拠点を置く横浜FCだ。勢いそのままに連勝といきたいところだが、石原 広教は「VARに救われた部分もあった。油断せずに臨みたい」と話す。そのとおり前節はVARにより失点が取り消され、反対に自分たちの得点が認められた場面もあった。これが逆であれば、勝負の結果は分からなかっただろう。だからこそ浮かれる様子はなく、地に足をつけ、いつもと同じ準備をしてダービーマッチへと臨む。
J1復帰を果たした横浜FCは前節、名古屋と対戦。開始4分にCKからキャスパー ユンカーにネットを揺らされた。同点、逆転へとゴールを目指したが、最後まで決め切れずに0-1で敗戦している。
守りを固める名古屋に対して苦戦を強いられたが、「後半は前への迫力、裏を取る動きも増えて、チャンスも作れましたが、あと一歩至らずというところでした。そこは次節以降、チームとして進歩していけるようにしたい」と四方田 修平監督はポジティブに語る。
今オフには積極的な補強を行い、選手層を厚くした横浜FCにはあらゆる組み合わせと手段があるはずだ。それをこのダービーマッチでどう使い、勝利をつかみ取ろうとするか。快勝した湘南と高い潜在能力を秘めた横浜FCによる“神奈川ダービー”は、サッカーファン注目の好ゲームとなるに違いない。
[ 文:舞野 隼大 ]
