「もしかしたらあったかもしれませんね。34分の1以上の価値が。いま選手たちに伝えたのは『来週、勝つ』ということですね」 まだ、それだけの価値があったのかどうかは分からない。今節で勝ってこそ、その真価が分かると評価を保留した。
今季こそ。対戦のたびにそう意気込んできた川崎Fとの対戦は、勝ちなしが7シーズン続いている。リーグ戦14試合で4分10敗と圧倒的に負け続けている。昨季も開幕戦でG大阪に快勝し、その勢いをもって川崎F戦に向かったが、開始2分に関川 郁万のパスミスから失点すると、17分にも追加点を奪われる最悪のスタート。その後も前半はピンチの連続だった。
だからこそ、岩政監督は開幕戦の結果があっても「僕たちは去年同じような状況で川崎Fに返り討ちを食らいましたので、それを繰り返したくない」と勝って兜の緒を締める。
開幕戦、鹿島はプレッシングで京都を圧倒。前半は相手にやりたいことをほとんどやらせず、2点を先取して試合をコントロールした。一方、川崎Fは横浜FMと対戦し、相手の激しいプレッシングに苦しみ、ビルドアップのミスから失点。前半のうちに追加点を奪われ、後半アディショナルタイムに1点を返すにとどまった。開幕戦で手ごたえをつかんだ鹿島は、おそらくプレスを掛けていくだろう。それに対して川崎Fがどのような対応を見せるのか注目だ。
ただ、川崎Fはベストメンバーをそろえることができない状況に見舞われている。開幕戦では車屋 紳太郎が負傷交代(その後右ハムストリング肉離れと診断)すると、車屋とCBを組んでいたジェジエウも終盤に退場処分を受け、今節は出場停止。ほかにも、最終ラインでは登里 享平も負傷離脱しており、メンバーを組むのは簡単ではない。鹿島戦に強さを発揮する山村 和也や柏から移籍してきた大南 拓磨の起用がありそうだ。
監督が採用するシステムも楽しみである。鹿島はFWの知念 慶を左サイドハーフに起用する形がピタリとハマり、川崎Fは[4-3-3]から可変する形をとっている。キャンプから岩政監督はさまざまなシステムや選手の配置を試しており、お互いに選手の立ち位置を変えながら、試合の状況を変えようとしてくるだろう。個性あふれる選手がベンチにもそろっている。終了のホイッスルが鳴るまで目の離せない熱い試合に期待したい。
[ 文:田中 滋 ]

