その流れを変えようと、鹿島はクラブを挙げて後押しする。クラブ史上初の試みとなる2階席の全席無料招待(すでに受付は終了)に加え、アントラーズファミリーの結束を強めるために、クラブスローガンである『FOOTBALL DREAM』が刻印されたオリジナルラバーバンドが来場者に配布される。コロナ禍で空席が目立つことも多くなってしまった県立カシマサッカースタジアムを深紅に染め上げ、選手を力強く後押しする環境を整えた。
選手たちもこれを歓迎する。開幕戦で2得点した上田 綺世は久しぶりに多くのサポーターがスタジアムに詰めかけることが予想される試合を、心から歓迎していた。
「アウェイで勝って帰ってこられたので、関心も高まっていると思うし、多くのサポーターの中でやっぱり僕らもサッカーをしたいので、そういう戦略を取ってやってくれているのは僕らにとってはすごくうれしい。良い姿を見せたいので僕らも良い準備をして、川崎F戦を迎えられたらなと思います」 2トップを組む鈴木 優磨とのコンビネーションは、開幕戦から息の合ったところを見せた。
「素直にやりやすいですね。僕はどっちかといえば背後に抜けたい人間なので、やっぱりああやってタメを作ってくれる、ポストプレーをしてくれるFWとの2トップというのはすごくやりやすい」(上田) 2人で3得点した開幕戦に続き、川崎F戦でも相手の脅威になることが期待される。
対する川崎Fは苦しい状況が続いている。水曜日に行われた第9節・横浜FM戦は2-4で敗戦を喫した。このオフに旗手 怜央らがチームを離れただけでなく、シーズンが始まってからもケガ人や新型コロナウイルス感染症の陽性判定者が出てしまい、なかなかメンバーをそろえることができていない。そんな中、鬼木 達監督は「自分たちは発展途上。昨季、一昨季の王者かもしれないが、今季は積み上げていかないといけないことも多くある」と前を向く。
川崎Fには勝たなければいけない事情がある。昨季2敗しかしなかったチームが、もし序盤で連敗を喫することになれば大きな関心が集まり、その関心の大きさが実状以上のダメージを与えかねない。川崎Fにすればそれだけは絶対に避けたいはずだ。
しかし、鹿島にも勝たなければいけない事情がある。新たな歴史を作るためには必ず越えなければならない相手だ。
「タイトルを獲る上で絶対に倒さなければいけない相手だと思います。ここ何シーズンか開幕がうまくいっていないことも課題に挙げている。今年は違うというところを見せるには良い相手だと思う。僕らがここ1カ月半やってきたことを前面に出して真っ向勝負できたらいいのかなと思います」 上田は「真っ向勝負」と言った。激しい好ゲームが期待される。
[ 文:田中 滋 ]

