神戸は前節、アウェイで柏と対戦した。開始早々に佐々木 大樹がクロスバー直撃の惜しいシュートを放つなど、持ち前のアグレッシブさを出していくと、24分に先制点を奪う。汰木 康也のクロスを武藤 嘉紀が収め、最後は大迫 勇也が冷静に決めた。自慢の3トップが見事につながった鮮やかなゴールだった。
ただ、試合を通して神戸は苦しい時間を過ごしている。試合の3日前にネルシーニョ監督からバトンタッチした井原 正巳新監督の下、ホームの声援を受けて強い気持ちでゲームに入った柏のペースに引き込まれた。ビルドアップに工夫を凝らした相手に、自慢のハイプレスはスイッチを切るきっかけを作り切れず。66分にオウンゴールを献上してしまい、ペースをつかみ切れないまま鳴った試合終了の笛。反省点も多く残るドローだった。
ただ、神戸の進撃が止まったわけではない。明治安田J1第9節・横浜FM戦に敗れて以降、上位直接対決だった名古屋や広島との対戦を含めて3勝2分の5戦無敗で着実に勝点を積み上げている。ここまでの総得点は札幌に次ぐリーグ2位の『29』で、失点数は『9』でJ1唯一の1ケタ台。攻守に明確な戦い方を継続しており、粘り強さも試合ごとに増している。今節もまた、いつもと変わらぬ姿勢で勝点3を求めてピッチに立つことになる。
また25日には、2018年7月に神戸に加入して以来、多くの感動と興奮を日本サッカー界にもたらしてきたアンドレス イニエスタの退団に関する記者会見が開かれた。その胸の内を率直に語った背番号8の功績は語り切れないほどに多い。チームもサポーターも共闘の意思をますます育みながら、強い思いを胸に目の前の試合に向かっていくことになるだろう。
一方、5勝4分5敗で10位につけているFC東京。第9節では広島に2-1で勝利し、前々節も川崎Fを2-1で破るなど、強者を相手に勝星をつかんでいるものの、大波をつかみ切れないまま中位に甘んじている状況だ。
ただ、前節・鹿島戦では良いところも多く見られた。5連勝中でその間1失点も喫していない鹿島に先制されたが、ディエゴ オリヴェイラがPKを決めて前半のうちに追いつき、ドロー決着。さらなる高みを見据える上で、反省点を含めて収穫の多い試合ともなっている。
その鹿島に続いて今節で神戸と対戦し、次節は横浜FMとの試合が待つ。上位勢とのゲームが続くだけに、中位から抜け出し、上位を追走していくためにも勝利が欲しい状況だ。
両者ともに攻撃的なスタンスを持ち味とするが、特にフォーカスされるのはJ1を席巻している神戸の強度満点のハイプレスと、好位置取りとパスワークで主導権を握るFC東京のポゼッション。つかまえるのか、外すのか。今節における見逃せない瞬間の1つとなる。
[ 文:小野 慶太 ]
