目標が消失した直後はモチベーションも下がりがちだが、名古屋には最終節でどうしても負けられない2つのテーマがある。それは大事なタイトルの1つだった天皇杯の準々決勝で敗れている柏とのリベンジマッチだということ。そして、今季のリーグ戦ではホームゲームで無敗を続けており、1つの成果としてその良い流れを来季に継続したいということだ。
長谷川 健太監督は「何かにチャレンジするのではなく、今季の集大成としたい」と、最終節の位置づけを語った。柏とのリーグ戦での前回対戦は、先制、追加点、ダメ押しと理想的な展開で3-0の勝利を収めている。その再現を果たして笑顔で締めくくりたいというのが本音だろう。
ただ、今節は主将の稲垣 祥が出場停止。稲垣は2020年に加入して以来、リーグ戦139試合すべてに出場してきた。ボランチという激しく競り合うポジションで、なおかつボール奪取という接触プレーが多くなりがちなプレーを得意にしているにもかかわらず、ケガもカードも少なく、チームに貢献してきたのは特筆すべきこと。本人は「出場記録に誇りを持っていたけど、しょうがない。もう1回記録を作りますよ」と切り替えているが、チームにとってはこの初めての事態をどう乗り切るかが大事になる。
注目したいのは、そのボランチに誰を起用するのか。以前、長谷川監督は「森島(司)のボランチを試してみたい」と言っていたが、集大成ならば今季ボランチで出場したことがある内田 宅哉や山田 陸も候補か。いずれにしても、稲垣とはタイプの違う選手であり、その特長をどう生かすかがテーマになる。
そして、明治安田J1第20節・横浜FM戦を最後に奪えていない2点目をどう取るのかはクリアしたい課題だ。前節も決定機の数では優勝したチームを上回っていたが、完全フリーのシュートをクロスバーに当てるなどチャンスをモノにできなかった。
「力不足で勝ち切れない試合が続いているが、選手たちも今季最後ということで感謝の気持ちを持って戦ってくれると思う。なんとかファミリーの力も借りて、みんなの思いを1つにして勝利をつかみ取りたい」と長谷川監督。すべての力を結集して、目の前の試合の勝利にこだわりたい。
対する柏は、ようやく重圧から解放されてサッカーができそうだ。今季は前半戦から苦しい戦いを強いられてきたが、前節・鳥栖戦で勝点1を積み上げたことで、確定はしていないものの、18位・横浜FCとの勝点差が『3』に開き、得失点差でも『12』上回っていることを考えれば、よほどのことがない限りJ2に降格することにはならないだろう。
そして柏は、今節のあとに天皇杯決勝という大舞台が待っている。そこに向けて勢いをつけるためにも勝利が欲しいところ。最上なのはリーグ戦ここ3カ月でできていないクリーンシートの達成。そして、堅い名古屋の守備を崩すことができれば、自信を持って大一番に臨める。
内容に見どころの多い名古屋と柏の最終節。名古屋のホームだが、岐阜市の岐阜メモリアルセンター長良川競技場で行われる。
[ 文:斎藤 孝一 ]
