前節終了時点で、清水は6勝3分4敗の成績を残し、勝点21を積み上げて5位につけている。前節はFC東京を相手に2-0と勝利を収め、今季初、そしてJ1で4年ぶりとなる3連勝を達成。最終ラインの面々を中心に苦しい台所事情を強いられながらもしたたかに勝点を積み重ね、今後本格化してくるであろう上位争いにも名を連ねる気配を漂わせている。
そんな清水は2022シーズンから毎年、国立でホームゲームを開催している。昨季までの成績は2分1敗。ホーム開催の試合ではなかったが、国立で行われた2023シーズンのJ1昇格プレーオフ決勝・東京V戦では、あと一歩のところでJ1復帰を逃しており、その記憶もこのクラブに関わるすべての人々に強く刻まれている。実際、山原 怜音は「国立でのゲームには悔しい思いのほうが多い」と率直な心境を吐露していた。
“新”国立競技場に生まれ変わってからは未勝利が続いていたが、その不名誉なジンクスに終止符を打ったのが今季の明治安田J1開幕戦。前述のプレーオフ決勝で悔しさを味わわされた東京V相手に、北川 航也の決勝ゴールでリベンジを達成し、新国立で初勝利を記録した。
そして次に挑むのが、ホーム開催における新国立初白星だ。秋葉 忠宏監督就任以降、清水は国立で4試合を戦って1勝3分と無敗。厳密に指摘すると、前述のプレーオフ決勝は引き分けながら大会レギュレーションの関係で敗退となったが、いずれにせよ熱血の指揮官は国立に対する苦手意識は抱いていない。同時に、“聖地”との相性を良くすることは、クラブを強豪化させていくために避けては通れない道だとも主張している。
「国立競技場はタイトルを懸けた試合が行われることが多いですよね。そこで勝ちグセをつけておくことは本当に大事で、このスタジアムに対して良い思い出を持っているチームがタイトルを獲れると思っています」(秋葉 忠宏監督) そんな清水の前に立ちはだかるのが名古屋だ。かつて清水で一時代を築いた長谷川 健太監督に率いられるチームは、ここまで3勝2分8敗で勝点11の獲得にとどまっており、現在は降格圏の19位に沈んでいる。だが、秋葉 忠宏監督は「彼らはまだ死んでいない印象です。ハードワークができて、最後の最後まであきらめない姿勢は、健太さんのチームらしくて、まったく衰えていない」と警戒の言葉を隠さない。
もともと、シュミット ダニエル、稲垣 祥、マテウス カストロら、J1でも上位に食い込めそうなタレントはそろっている。チームとしての歯車がかみ合えば、すぐに降格圏を脱出できるだろう。現在は今季三度目の連敗中と苦しい状況に見舞われているが、国立で白星をもぎ取ることで、復調のきっかけをつかむ可能性は十分にある。
世間はゴールデンウィークの真っただ中だが、Jリーグでは厳しい連戦のスケジュールが組み込まれている。50,000人以上の大観衆が駆けつける見込みの“聖地”で、試合終了のホイッスルが鳴ったときに笑っているのはどちらのクラブだろうか。
[ 文:榊原 拓海 ]


