ホームの鹿島は前節、アウェイで川崎Fを2-0で撃破。就任当初からチームに“勝ち切ること”を植えつけてきた鬼木 達監督はさらなる向上を目指している。来るべき2026/27シーズンのJ1とAFCチャンピオンズリーグエリートを見据えて選手層を厚くすべく、選手たちの競争を促してきた。長期離脱していた関川 郁万、安西 幸輝に続き、前節は師岡 柊生も復帰。チーム内の競争はますます激しさを増している。
川崎F戦でも見せたように、前半を同点で折り返しても焦らず、“後半勝負”に持ち込める選手たちの精神的な成熟と割り切りが、いまの鹿島の最大の強みだ。J1百年構想リーグは90分を終えて同点の場合はPK戦で決着をつける特殊なレギュレーションだが、90分間でいかに優位に試合を進めるかという鬼木 達監督の哲学はチームに深く浸透している。
ここまで10試合でわずか5失点という堅守をけん引するCBのキム テヒョンも慢心とは無縁だ。「(植田 直通と)2人だけで守っているわけではないですし、みんなで守った結果、失点が少ない。ただ、内容的に満足できるものではないので、まだまだやらなきゃいけないのかなと思っています」とさらなる向上心を燃やす。浦和との前回対戦では序盤に2失点を喫した反省がある。「前半戦のような失点は絶対にしてはいけない。無失点を強く意識する」と、この大一番に向けて並々ならぬ決意を口にしている。
一方、アウェイに乗り込む浦和は、順位こそ鹿島の後塵を拝しているが、そのポテンシャルはリーグ屈指だ。特にチーム最多の4得点を挙げている肥田野 蓮治を中心とした攻撃陣の爆発力は脅威であり、鹿島の鬼木 達監督も「やっぱり個があるチームなので、一瞬で得点にしてきてしまう」と最大級の警戒を示している。
浦和にとって、2-0から逆転負けを喫した前回対戦での悔しさは、選手とサポーターの心に深く刻まれているはずだ。現在は2試合のPK負けを含む5連敗中と苦しい時間を過ごしている中、首位の鹿島を叩くことで上位進出への足がかりとしたい。この5試合はいずれも相手にゴールを許しており、90分で敗れた試合は1点差で終えている。大崩れはしないものの、あと一歩のところで守り切れない試合が続いており、この試合でも目の前の勝負に懸ける執着心の強さが勝敗を分けることになりそうだ。
両チームのサポーターが作り出す熱狂は、Jリーグ開幕初年度から続く“オリジナル10”同士の対戦ならではの特別な空間となる。鹿島がホームで返り討ちにし、首位の座をより盤石なものにするのか。それとも、浦和がアグレッシブな姿勢でリベンジを果たし、上位進出への狼煙を上げるのか。両者のプライドがぶつかり合う、熱く激しい死闘に期待したい。
[ 文:田中 滋 ]

