なお、今節の水戸戦は黒田監督にとって、“監督冥利に尽きる”試合と言っていい。それもそのはず、水戸の武田 英寿やJFA・Jリーグ特別指定選手である仙台大の得能 草生は青森山田高出身の教え子だ。また高校選抜でも指導したという安藤 瑞季を含めれば、多数の教え子との対戦が控えている。黒田監督の胸中はどうだろうか。
「教え子がいることにやりにくさは正直ありますが、同じピッチで対戦できることや、試合が終わったあとに対話ができることは、ここまで30年間、高校サッカーの指導者をやってきた財産でもあるので、とても楽しみです」 特に武田に関しては、前節の岡山戦でゴールを決めているため、「近年にないほどイキイキとプレーしている」と目を細めた。また武田の正確なキックに対しても警戒心を強めており、町田にとって“武田封じ”は1つのポイントになりそうだ。
一方で敵地に乗り込む水戸は、開幕から3試合連続ドローと勝ち切れていない。しかし裏を返せば、「負けないポテンシャルがある」と黒田監督は見ている。濱崎 芳己監督率いる水戸はハイプレス志向である上に、強気にボールを動かして相手を崩すアプローチに取り組む勇敢さが目を引く。加えて、エネルギッシュでイキのいい若手選手が多いため、「水戸は一度勢いに乗らせたら、止めることが難しい空気感にもなってくる」(奥山 政幸)。その代表例が、0-2からのビハインドを乗り越え、3-2での逆転勝利を成し遂げた昨季の明治安田J2第25節のアウェイ・町田戦。直近の対戦が象徴するように、水戸流の“攻撃マインド”を存分に発揮することが、勝利の可能性を高めるに違いない。
[ 文:郡司 聡 ]
