シーズン序盤の3月、浦和はその“一番強いチーム”に0-5の完敗を喫している。ただ、結果的に大差がついたとはいえ、何もできずに敗れたわけではなく、0-1で折り返しながらも前半は浦和のゲームだった。これについて、川崎Fの旗手 怜央も「相手のサッカーがすごく良かった。(先制するまでは)自分たちが何もできない、何も生まれそうにない状況だった」と試合後に語っているほどで、浦和がボールを握り、失ってもすぐに奪回して試合を支配し続けていた。リカルド ロドリゲス監督も「前半は良い内容をお見せすることができた」と感じていたが、「それでは不十分だった」と後半の展開を悔いた。後半の立ち上がりからペースを取り戻した川崎Fに2点目を奪われると、まだ構築途上だったチームは目に見えて崩壊した。
あれから5カ月あまり、浦和はどのように変化し、成長を遂げただろうか。3月時点と比べて多くの選手が加入した。キャスパー ユンカーをはじめとして、アレクサンダー ショルツ、酒井 宏樹、江坂 任、平野 佑一、木下 康介と大型補強を実施。期限付き移籍や完全移籍でチームを去る選手もいたが、戦力は大きく拡充された。リーグ再開後の初戦こそ落としたものの、その後は公式戦5戦無敗だ。苦しい展開の試合が続きながらも、新加入選手らの“個”の輝きでしぶとく勝ちを拾ってきた。
一方で、多くの選手が加入しただけに成熟度は少しリセットされている状況にも映る。自分たちがボールを保持する時間は減り、速攻の比重が高まっており、失った際のカウンタープレスも控えめだ。“試合を支配する”という命題については、現状では受け身のスタイルとなっている。
ただ、アウェイの川崎Fも万全とは言い難い。分厚い選手層を誇るとはいえ、欧州へ旅立った三笘 薫や田中 碧の穴は大きく、リーグ再開後は今季初の敗北を喫するなどやや下降線だ(それでも公式戦3勝2分1敗)。ただ、無敗記録が途切れた直後のリーグ前節・札幌戦を2-0で快勝しており、落ち込みは見られない。「もっと苦しい時代を経験してきた。1回負けることなんて普通」と小林 悠は語り、「戦う、ハードワーク、アグレッシブに行くというところに立ち返れた」と鬼木 達監督もチームを立て直した。王者はやはり、“一番強いチーム”だ。
浦和としては、ここ数試合のように耐える時間帯が多くなれば、反撃の一撃を繰り出す前にどこかで決壊してしまう可能性が高い。やはり3月の試合の前半で見せたような、主導権を握る時間帯をどこまで増やせるかがカギだろう。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
