J3で3年目を迎えた松本は、霜田 正浩監督が率いて2年目となる。オフシーズンには、馬渡 和彰や山本 康裕、高橋 祥平など実績あるベテランを含めて10人を補強(期限付き移籍からの復帰、期限付き移籍から完全移籍への移行を除く)。リーグ屈指の豪華な戦力を有し、J2返り咲きに向けて不退転のシーズンを滑り出した。ここまでのリーグ戦は1勝2分。リーグ前節・YS横浜戦から中3日で臨む山口戦は、出場機会に飢えた選手たちをピッチに送り出す可能性もある。
実際に住田 将や藤谷 壮など、リーグ戦で先発の機会から離れていても、コンディションの良い選手たちは多い。今季は誰が出ても同水準のパフォーマンスを発揮できることを指揮官は強調しており、攻守にアグレッシブな霜田監督のサッカーを体現しながら勝利をつかみたい考えだ。
ホーム開幕戦となったリーグ前節は、YS横浜と1-1のドロー。79分に追いついてなお一方的に攻め立てたものの、決め手を欠いた。公式戦連戦となる中、霜田監督は「勝ち抜いて優勝したい気持ちと、次のリーグ戦に生かしたい思いがある。相手のディビジョンはまったく気にしていないし、勝ちにいくことで次のリーグ戦にもつながってくる」と話す。
従来は、大まかに表現すると“守備の松本×攻撃の山口”という構図で繰り広げられてきた対戦だが、今回は両者のチームカラーが正反対に入れ替わった。松本は霜田監督が掲げるスタイルの定着を図っており、ビルドアップから丁寧にボールを前進させる手法。逆に山口は就任1年目の志垣 良監督の下、これまで同指揮官が八戸やFC大阪で表現したように、徹底したハードワークからの鋭い攻撃を志向する。
山口は明治安田J2で3試合を戦い、1勝1分1敗。ホーム開幕戦となった第2節・秋田戦を2-0で制して初白星を飾ったものの、直近の第3節は岡山に0-1。終盤にセットプレーから失点し、連勝はならなかった。松本戦まで中2日とあって、松本以上にメンバーを大きく入れ替える可能性もあるだろう。
山口の右SB前 貴之にとってはかつてキャプテンを務めた古巣との一戦になるが、ここまでリーグ戦にフル出場しているため、帯同するかは不透明。そして、霜田監督にとって山口は、初めてJリーグクラブの監督を務めた(2018~20年)古巣である。ただ、本人は「(山口の)サポーターには会いたいと思うが、相手が山口であることは意識していない」と私情を表に出さない。
この対戦は終了間際にスコアが動く傾向にある。松本からすると苦い記憶が多く、2016年の初対戦時は3-2から90+4分に失点してドロー。2017年は2-0から大逆転負けを喫した。2018年も90分を過ぎての2失点で2-2に。逆に2020年は90+3分に1-2とされ、直後に2-2とした例もある。今回も最後の笛が鳴るまで、一瞬たりとも気が抜けない試合となるだろう。
[ 文:大枝 令 ]
