連戦の疲労が色濃く残る中での一戦となる。山口は公式戦3連戦の2試合目であり、直近の明治安田J2第8節・愛媛戦から中3日。一方の鹿島は公式戦5連戦の4試合目、直近のJ1第9節・京都戦から中2日という厳しいスケジュールでこの試合に臨む。まさに両チームの選手層の厚さ、総合力が試されるゲームとなるだろう。
山口は、今季でJ2・10年目のシーズンを戦っている。2014年にJFLへ昇格後、翌年にはJ3に、そして2016年にはJ2へと、目覚ましいスピードでカテゴリーを駆け上がった。その躍進を支えた1人に、現在鹿島に所属する小池 龍太がいる。若手の育成を重要な使命とする山口にとって、小池 龍太はその象徴とも言える特別な存在だ。山口の古参ファンからすれば、かつてともに戦った懐かしい選手が凱旋することに楽しみを覚えているだろう。
その山口を率いるのは、2年目の指揮を執る志垣 良監督だ。昨季は最終的に11位でシーズンを終えたものの、終盤までJ1昇格プレーオフ争いに絡む健闘を見せた。今季は選手が多く入れ替わり、フレッシュな若いチームで戦いに挑んでいる中、リーグ戦では現在5試合勝利がなく、18位と下位に沈んでいる。チーム全体の底上げを図るためにも、J1の強豪である鹿島に全力で挑み、多くの学びを得て、今後の成長への糧としたいところだ。
鹿島がJリーグ屈指の勝負強さを誇るチームであることは、もはや説明の必要はないだろう。Jリーグクラブ最多となる国内主要タイトル19冠を獲得している名門は、今季から新たな時代に突入。昨季まで8年間川崎Fを率い、数々のタイトルを獲得した鬼木 達氏を新指揮官に招聘し、チームは変革期を迎えている。
鹿島は現在、リーグ戦で3位と好位置につけているものの、直近は痛恨の2連敗を喫している。ホームでは圧倒的な強さを誇り、リーグ戦のホーム無敗記録を『27』まで伸ばしていたが、京都戦の敗戦でその記録がついにストップ。このイヤな流れを断ち切り、再び勢いを取り戻すためにも、しっかりと勝利を収めたいところだろう。
両チームの1回戦を振り返ると、山口は大分を相手に3-2で勝利を収めた。31分に山口アカデミー出身の末永 透瑛が先制ゴールを奪い、後半開始から投入された古川 大悟が67分と69分に立て続けにゴールをマーク。終盤に連続失点を喫したものの、逃げ切って2回戦進出を決めた。山口はリーグ戦で先制点を奪いながら、追いつかれたり逆転されたりして勝ち切れない試合が続いている。数々の修羅場を経験してきた試合巧者の鹿島を相手に、ゲーム運びの妙を学ぶことは非常に多いはずだ。
一方、1回戦でJ3の栃木Cと対戦した鹿島は、1-0で勝利。鬼木 達監督は「今日のゲームに関しては、勝てたことがすべてだと思う。両チームに多くの決定機がある中で、しっかりと勝ち切れたことは自分たちにとって幸運だった」と試合を振り返った。虎の子の1点を最後まで守り抜く勝負強さを見せ、2回戦進出を決めている。今回の試合でも持ち前の勝負強さを発揮できるかに注目が集まる。
山口が練習拠点としている山口県山陽小野田市では、シーズンオフの恒例行事として鹿島の選手などが訪れ、少年サッカー教室が開催されている。その歴史は長く、これまでに27回を数える。一昨年と昨年には鹿島のレジェンドであり、クラブアドバイザーを務めるジーコ氏も参加して、“ジーコスピリッツ”を子どもたちに直接伝えた。公式戦では初の対戦となる両チームだが、このような地域レベルでの温かい交流があるだけに、今回の試合はより一層楽しみなものとなるだろう。
[ 文:田辺 久豊 ]


