リーグ戦では富山が5戦勝ちなし(3分2敗)、名古屋が2連敗中とそれぞれ足踏みしているため、今回の一戦で浮上へのきっかけをつかみたい。
2009年にJリーグに入会した富山が、Jリーグオリジナル10の名古屋と公式戦で対戦するのは初めて。中部地方に属する日本海側の富山県と太平洋側の愛知県は、2008年に東海北陸自動車道が全線開通したことによって行き来が盛んになり、心理的な距離もぐっと縮まっている。ようやく実現した対決を楽しみにしているサポーターは少なくない。石川県や岐阜県飛騨地方など近隣地域のグランパスファンも足を運ぶはずだ。
さかのぼるとカターレ富山の前身の1つであるアローズ北陸(北陸電力サッカー部)が2005年11月に行われた天皇杯4回戦で名古屋と、今回と同じ富山県総合運動公園陸上競技場で対戦している。名古屋は現コーチの楢﨑 正剛と吉村 圭司をはじめ、秋田 豊(現・高知の監督)、藤田 俊哉(現・磐田のスポーツダイレクター)らがスタメン出場し、川島 永嗣(現・磐田)と本田 圭佑も控えで帯同。アローズ北陸は、のちにカターレ富山の初代メンバーとなる上園 和明、長山 一也(現・松本のコーチ)らが出場した。試合は49分に豊田 陽平(現・鳥栖のクラブ・コンダクター)がゴールを決めて名古屋が1-0で勝利。雨の中にもかかわらず、10,312人が観戦した。当時6歳だった富山の松岡 大智は家族と一緒にこの試合を観戦したことをハッキリと覚えており、「自分もプロサッカー選手になりたい」という憧れを抱いたという。その後、JFLで競い合っていたアローズ北陸とYKK APサッカー部が富山県サッカー協会の主導によって統合され、カターレ富山が2007年11月に発足する運びとなったが、「富山にもJクラブを」という機運が高まる過程で、地元のサッカー熱の高さが可視化されたこの試合の意義は大きかった。
富山、名古屋とも4日後にリーグ次節があり、公式戦3連戦の渦中にいる。リーグ前節・山口戦から中2日の富山はターンオーバーが濃厚だが、不安材料はない。キャプテンの吉平 翼、ベテランの河井 陽介らを筆頭に1回戦で活躍したメンバーがアグレッシブかつ、一体感のある戦いを見せてくれるだろう。2回戦で清水、3回戦で神戸を破った昨季の再現を目指す。
注目が集まるのは、リーグ前節でフル出場した碓井 聖生の起用法。中京大在学時に名古屋に練習参加した経験があるプロ2年目は、札幌と対戦した昨季のプレーオフラウンドの2試合で計2得点を挙げ、今季も1回戦・千葉戦でハットトリックを達成した“ルヴァンカップ男”だ。先発でも、途中出場でも勝負を左右する存在として目が離せない。2014年に名古屋でプロキャリアのスタートを切った松田 力もリーグ前節で今季2点目を挙げており、好調。「名古屋は自分が最もお世話になったクラブ」と語り、恩返しの一発を狙っている。
一方の名古屋は12日のリーグ前節・G大阪戦で0-2の完敗。長谷川 健太監督が今回のゲームをどう位置づけ、どの選手に勝負を託すのかは興味深い。1回戦では元日本代表GKのシュミット ダニエルが加入後初出場するなど現在の主力メンバーが先発し、その試合での勝利をきっかけに次のJ1第7節・横浜FC戦でリーグ戦今季初白星。そして、続く第8節・横浜FM戦で連勝を飾った。リーグ戦での復調とタイトル獲得を視野に、富山戦に対する本気度は高いはず。選ばれしメンバーとそのパフォーマンスが楽しみだ。
[ 文:赤壁 逸朗 ]
