国立競技場のピッチに立つ両雄は、いずれも関西を本拠地とするチーム。決勝では1953年度大会の全関学と大阪クラブの顔合わせ以来、71年ぶりとなる関西勢対決が実現した。
もちろん、Jリーグ開幕以降初めての関西勢による決勝である。
「ダービーでもあるし、決勝において関西同士で戦えるのは誇らしい。だからこそ、熱い試合が見せられる」。かつて“神戸キラー”として知られたG大阪のエース・宇佐美 貴史は両チームの思いを代弁した。
過去4回の優勝を誇るG大阪にとっては4大会ぶり、8回目の決勝進出(※前身の松下電器産業株式会社サッカー部時代は除く)。2015年度大会の優勝を最後にタイトルから遠ざかっているチームは劇的な形で準決勝・横浜FM戦を制して、決勝にコマを進めてきた。
準決勝について、鈴木 徳真は「今季のチームを象徴する試合」と振り返る。2-2で迎えた延長後半の終了間際に坂本 一彩が決勝ゴールをゲット。1-2で迎えた90+3分に挙げた中谷 進之介の劇的な同点ゴールを含めて、クラブ史に残る激戦を勝ち切った。
明治安田J1第34節・川崎F戦で負傷交代していたウェルトンが戦列に復帰し、リーグ前節・磐田戦で復帰したイッサム ジェバリもメンバー入りが濃厚。その上、得点力不足が顕著だったシーズン序盤とは異なる破壊力を見せ始めている攻撃陣には勢いがある。
一方の神戸は初優勝した2019年度大会以来、5大会ぶりの決勝となる。京都との関西勢対決となった準決勝は、2-1で勝利。エースの大迫 勇也と武藤 嘉紀を先発から外して温存しながらも勝ち切る勝負強さは、昨季J1王者の底力を感じさせるものだった。
「(国内の大会で)2個も優勝争いに残れているのは素晴らしいこと」と岩波 拓也が語るように、連覇を狙うJ1でも首位を堅持。AFCチャンピオンズリーグエリートとの並行日程となっているにもかかわらず、さすがの勝負強さを見せている。
両者は今季J1で二度対戦し、G大阪が1勝1分と勝ち越している。ただ、「決勝にリーグ戦の結果は関係ない」と宇佐美は気を引き締める。
両チームともに明確なスタイルを持っている中、間違いなく試合の見どころになるのは神戸のエース・大迫と、リーグで2番目に少ない失点数を誇るG大阪の最終ラインによる局地戦である。「神戸は大迫さんに向けて長いボールを蹴ってくると思う。武藤選手もいるが、僕と福岡(将太)がどれだけ大迫さんに負けないかがカギになる」と中谷は昨季のJ1最優秀選手封じを誓う。
また、神戸に所属している初瀬 亮、井手口 陽介、日髙 光揮はG大阪のアカデミー出身。タイトルを懸けた大一番で古巣相手に闘志を燃やしているのは間違いない。
ピッチの至るところで見どころが満載の決勝。国内2冠を視野に入れる神戸が本格的に“深紅の時代”を到来させるのか、それとも9シーズンぶりのタイトル獲得でG大阪が復権を果たすのか――。日本中の注目を集める大一番は、国立で14時にキックオフを迎える。
[ 文:下薗 昌記 ]


