明治安田J1では第20節・広島戦で引き分けると、その後3連敗を喫して4戦勝ちなしとなり首位から陥落した鹿島だが、天皇杯3回戦で長崎に2-1で勝利すると、リーグ戦中断前の最後の試合となったJ1第24節で柏から劇的な勝利を奪う。アディショナルタイムに、途中出場の松村 優太が決勝点を奪う幕切れで、公式戦2連勝でこの中断期間を迎えることができた。選手たちはリフレッシュするとともに、もう一度始まる戦いに向けて英気を養えたことだろう。
「勝って順位を上位でキープできたのは、ものすごく大きかったと思いますけど、誰も勝ったとは思っていなかったし、満足している選手は誰一人いなかった。オフ明けからみんなしっかり練習できましたし、まだまだ足りないんだという思いにさせられました」 そう話すのは濃野 公人。天皇杯3回戦では、ケガから復帰後初めてフル出場できたこともあり、「だいぶ体は戻ってきた感じもありますし、試合のデータを見てもだいぶ走れている感覚もある」と、これからの活躍に期待を抱かせる。
中断期間では、攻撃のアイディアの見直しと、守備時に前からプレッシャーを掛けるときと、少し構えるときとの使い分けに取り組んだという。カムチャツカ半島での地震による津波で予定していた練習試合がキャンセルされたり、台風の影響で練習が思うようにできなかったりとアクシデントはあったものの、「その両面をちゃんと見直すことができたかなと思います」と濃野 公人は話す。福岡戦でレベルアップした姿を見せたいところだろう。
一方の福岡は、現在公式戦7試合負けなしと好調を維持している。内容的にも岡山や新潟からきっちり勝点3を奪い、神戸、京都、浦和といった上位陣からは勝点1をもぎ取る戦いを見せている。鬼木 達監督はその福岡に対して、「非常に積み上がっている。自信も持っているチームというふうに認識しています」と話した。
福岡は相手の陣形に合わせてシステムを変え、前からアグレッシブにボールを追いかけてくる。中盤の選手がしっかり顔を出してボールを前進させたい鹿島としては、勇気を持って戦えるかどうかが問われる対戦相手だ。
5月6日にベスト電器スタジアムで対戦したときは、レオ セアラがPKを沈め、その1点を守った鹿島が1-0で勝利している。ただ、内容的には互角と言える戦いだった。今回もちょっとしたことが勝負を左右する戦いとなるだろう。
両チームは、10日後の8月16日にもリーグ戦に舞台を移して相まみえる。とはいえ、一発勝負のこの試合にすべてをぶつけることは間違いない。チームが良い状態にあるのは福岡かもしれないが、鹿島はユースチームがクラブユース選手権で初優勝を成し遂げ、クラブ全体が盛り上がっている。良い波に乗れるのはどちらのチームだろうか。
[ 文:田中 滋 ]

