ちょうど1週間前の“前哨戦”は、FC東京が1-0で勝利。過去3試合、一度も勝てなかった町田から勝利し、ある種の苦手意識を払しょくできた点は優位に働くかもしれない。
一方で敗戦を突きつけられる格好になった町田の選手たちは、1週間後のリベンジに燃えている。チーム主将の昌子 源は「サッカーどうこうの前に、1人の男として同じ舞台で二度も負けるのは果たしてどうなのかと思う」と語った。また「やり返す」と短い言葉に決意を込めたのは前 寛之。「サッカー人生を変える」(昌子 源)天皇杯のタイトル獲得へ、町田の選手たちは結束している。
試合4日前に準備期間を立ち上げた町田は、連日のPK練習を実施。黒田 剛監督が青森山田高を率いている当時から“一家言”あるPK戦に突入した場合に備えて、指揮官自らPKのコツを指導するシーンが目を引いた。「もちろん90分で勝ち切ること」(昌子 源)を前提とした入念な準備だが、黒田 剛監督を筆頭としたコーチングスタッフは準決勝を制するための鍛錬に余念がない。また、立ち上げの練習では黒田 剛監督や相馬 勇紀が語気を強めてチームにゲキを飛ばすシーンも目立ち、クラブ史上初のメジャータイトル獲得に向けて闘志をたぎらせている。
対するFC東京も天皇杯獲得に懸ける気持ちは計り知れない。前哨戦で、マッチアップする相馬 勇紀を封じた長友 佑都の言葉が印象深い。
「自分がFC東京に戻ってきてから4年が経ちますが、まだタイトルをもたらすことができていません。個人的に非常に責任を感じていますし、今回は絶対に優勝したいと思います」 準決勝に臨むにあたって、FC東京側の“頭痛の種”は守護神のキム スンギュが韓国代表に招集されたため、欠場を余儀なくされること。それでも、キム スンギュはあとを託すチームメートに全幅の信頼を寄せる形でこう言った。
「私がいなくなってチームが崩れることはないと思います。ほかのGKも素晴らしいプレーをできると信じていますし、決勝に出られた際はまた良いプレーをしたいです」 そんな守護神のメッセージは、波多野 豪ら替わりに出場する候補選手にとっては、大きな励みとなるに違いない。
なお、前哨戦を制する立場となったFC東京の松橋 力蔵監督は、試合後の会見で大会が変わる中での町田との連戦に向けて、「事前に対戦カードは分かっていたことなので、ニュートラルな感覚でいる」とコメント。また「われわれにとっても大きなチャンスだし、また1つ勝つことで違った景色を見ることができる」と、天皇杯制覇への意欲を口にした。
日本サッカーの聖地での“東京対決”。頂点に王手をかけるための熱きバトルから目が離せない。
[ 文:郡司 聡 ]


