鳥栖のリーグ開幕戦はアウェイでの湘南戦。この試合では金 明輝監督就任以来続けてきた従来の4バックではなく3バックを採用。本来の鳥栖が志向するスタイルを出し切れたとはいえない内容だったが、終盤に林 大地がPKで挙げた1点を粘り強い守備で守り切り、5年ぶりの開幕戦勝利を手中に収めた。続く、JリーグYBCルヴァンカップの開幕戦はアウェイで鹿島と対戦。リーグ開幕戦から先発11人すべてを入れ替えた中で、鹿島に3失点の完敗。アウェイ連勝でホーム開幕戦を迎えるというもくろみは果たせなかった。
一方の浦和はリーグ開幕戦では1-1の引き分け。ホームにFC東京を迎え、試合を優勢に進める中でセットプレーの流れから阿部 勇樹が先制点。しかし、終盤にセットプレーから同点弾を許し、試合はそのまま終了。ルヴァンカップの開幕戦はアウェイで湘南と対戦し、スコアレスドローに終わった。今季から新たにリカルド ロドリゲス監督を迎え、攻守にアグレッシブな姿勢は表現できているものの、まだ勝利には届いていない。
互いに攻撃時にボールを持つ際は立ち位置を変幻自在に変える可変式が特徴である。うまくボールを保持しながら前進。あるいは相手を引き込んでから背後のスペースを突くというスタイルは共通項も多い。相手の特長を消すというよりも自分たちの良さを出すことに主眼を置く両者だけに、アグレッシブかつスピーディーな見ごたえのある展開が多くなることが期待できそうだ。ただ、両者ともに公式戦2試合を終えて、得点は1。どんなチームにとっても決定力は永遠のテーマではあるが、魅了するスタイルをより良くするためにも得点は不可欠。魅せるだけでなく、ゴール前ではどんな形でもゴールネットを揺らすというどん欲な姿勢も求められる。
鳥栖にとってこのカードは昨季1分1敗に終わっている。新監督を迎えて新たなスタイル構築に取り組んでいる浦和に対して、鳥栖は昨季作り上げた明確なベースがある。それだけに自分たちのスタイルをぶつけ合う押し相撲で押し込まれるわけにはいかない。金 明輝監督も上位進出のためにスタートダッシュを重要視しているだけに、ホーム開幕戦での勝利、そして連勝で流れを作っていきたい。浦和としてもリカルド ロドリゲス体制での勝利を挙げ、自信をつかみ取るとともにチームスタイルの浸透を加速させたいところだ。
攻撃的なスタイルでサポーターを魅了するとともに、結果で歓喜を呼び込めるのはどちらのチームになるのか。劇的な展開も多いこのカード。まばたきすらも惜しい好ゲームになる可能性は高いだろう。
[ 文:杉山 文宣 ]
