横浜FCにとって前節・湘南戦での負けは実に痛かった。そこまでの3試合を負けなし、連勝で最下位を脱出して迎えた残留争いの直接対決。苦しい前半をしのぎ、後半に松尾 佑介のゴールで先制するも、CBガブリエウの負傷交代から守備が崩れ、終盤に逆転を許した。再び最下位となり、残留圏との勝点差が残り試合数を上回る危険水域に突入した。
しかし、15位の清水以下、残留争いの渦中にある6チームの、東京五輪による中断期間明けからの戦績で見れば、最も勝点を稼いでいるのは4勝2分5敗の横浜FCである。4月から途中就任した早川 知伸監督の戦術が浸透してきたことと、GKスベンド ブローダーセン、CBガブリエウ、FWサウロ ミネイロら夏に補強した新戦力の活躍により、現在のチーム力だけで見るならば残留に値する力は十分にある。とりわけ、引き分けではダメで勝点3を取らなければならない状況にあって、ここ4試合で10得点を奪っていることは心強い。そのうちサウロ ミネイロが4ゴール、松尾は2試合連続ゴール中と、チーム戦術的に取るべき人が点を取っており、またセットプレーでキッカーを務める瀬古 樹も1ゴール3アシストと結果を出している。4試合すべてで先制点を奪えていることも強みだが、課題は前節でも命取りとなった「ゲームコントロールの部分」(早川監督)。ホームのサポーターの後押しも借りて、勝利を目指したい。
一方の鳥栖は、一時はAFCチャンピオンズリーグ出場圏内を争ったものの、直近の4試合を1分3敗と調子を落としている。特にここ3試合ではカウンターからの失点が目立つ。カウンターは横浜FCの得意とするところで、激しい前線からの守備によって繰り出すショートカウンターが機能し、サウロ ミネイロや松尾のゴールにつながっている。また、押し込まれた場面でもサウロ ミネイロと松尾、ジャーメイン 良がスペースを突くロングカウンターは相手に脅威を与えている。鳥栖にとっては、自軍のウィークポイントと相手のストロングポイントがかみ合うのはイヤなところだろう。
ただ横浜FCも、あまりに押し込まれるとはね返す力はそう強くない。それが失点数の多さ、ひいてはゲームコントロールの拙さにもなって表れている。鳥栖がボールを保持して相手を押し込む戦いに長けているだけに、横浜FCとしてはいかに受け身にならず、前からアグレッシブにプレスを掛け続けられるかがカギになる。
横浜FCの早川監督にとって初陣は第9節、敵地での鳥栖戦だったが、その試合では0-3と一蹴された。あれから約7カ月、指揮官含めチームの成長を示し、残留への望みをつなぎたい。
[ 文:芥川 和久 ]
